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リオ市=軍の直接統治からおよそ1カ月半=リオ市民の3割以上が「1年以内に銃撃戦に遭遇経験がある」と答える

直接統治令発令も、リオ市民の警察への信頼は決して高くはない…(参考画像・Tomaz Silva/Agência Brasil)

直接統治令発令も、リオ市民の警察への信頼は決して高くはない…(参考画像・Tomaz Silva/Agência Brasil)

 著しく治安が悪化しているため、2月半ばに連邦政府による直接統治令が出され、治安部門限定ながら軍の統治下に入ったリオ州。特に治安の悪化が深刻な州都リオ市においては、3月20~22日に行われた世論調査で、「暴力事件の頻発が理由で、リオの街を離れたいと思った事がある」人が73%いた。
 92%が「警察と犯罪集団との銃撃戦に遭遇するのが怖い」と答え、39%は「そういう場に遭遇する可能性は高い」と考えている。また、「ここ1年以内にそういう場に遭遇した事がある」と答えた人も30%いた。
 「自分や親類が銃撃戦の流れ弾の被害に遭う事が怖い」と答えた人は92%、「そうなる可能性は高い」と考えている人は40%、8%もの人が「1年以内に自分や親類が流れ弾の被害に遭った事がある」という。
 「1年以内に高価な物を力づくで奪われた事がある」は20%で、「1年以内に携帯電話をスラれたり、盗まれたりした事がある」は23%だった。
 昨年、ブラジル人全体を対象に行った質問への回答をリオ市住民の回答と比較すると、リオ市住民が「そう思う」と答えた割合は、「夜間近所を歩くのが怖い」「警察による暴力の被害に遭う事が怖い」「誘拐される事が怖い」「殺人事件の犠牲者になる事が怖い」の全てで、昨年の調査結果を上回った。
 警官に対する恐怖心の有無は、ファヴェーラと呼ばれるスラム街に住んでいるか否かで、返答に違いが出た。
 「自分の子供が不当に逮捕されるかもしれない」「警察による暴力の被害に遭う」「やってもいない犯罪で責められる」などが怖い、そうなるかもしれないと答えた割合は、スラム街の住人の方がそうでない人々より10%近く高かった。
 同じ質問を肌の色で分けて見た場合、「黒人」や「褐色」の人と、「白人」の間で明らかな違いが出た。「自分の子供が不当に逮捕されるかも知れない」と考え、そのような事態が起きる事を案じている黒人や褐色の人は80~81%おり、白人の場合の67%と大きな差が出たのだ。他の二つの質問も、黒人や褐色の人は72~74%が恐れているのに対し、白人で恐れている人は66~67%だった。
 これらの数字はダッタフォーリャが行った調査の結果だが、ブラジル治安フォーラム事務局長のサミーラ・ブエノ氏は、「リオでは、麻薬密売組織だけでなく、警官や消防士、時には政治家まで加わった、「ミリシア」と呼ばれる犯罪組織が実効支配する地域がある。また、(本来は住民に寄り添って活動すべき)軍警が犯罪組織に対抗するために重装備化し、本来必要のない状況で発砲してしまう事があるなど、危機的状況に置かれた場合に警官がどんな行動をとるか予測できなくなっている事も、住民の不安を高めている」と語っている。(2日付フォーリャ紙より)