【既報関連】ブラジル地理統計院(IBGE)が発表した、全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、18歳から24歳までの人口の失業率は、第1四半期末に28・1%(実数400万人)に達した事がわかった。
景気回復ペースが予想を下回る中、失業問題はブラジル社会に影を落とし続け、就職活動を開始する時期に雇用が落ち込んだ世代は、影響を大きく受けていると、20日付現地紙が報じた。
調査会社LCAコンサルタントが分析したところによると、近年、若者の間で高まっているのは失業率だけではなく、非正規雇用者の割合も他の年齢層に比べて高い。
2017年第4四半期の家族における主要な稼ぎ手(主に父親、つまり若年世代より上の世代)の失業率は、2012年第4四半期の3・5%から7・4%に増加した。この事が「家計を少しでも助けなくては」と思う若者が、学業も就業経験も不十分なままに労働市場に押し出されている理由と見る専門家もいる。
サンパウロ大都市圏の調査では、今年3月の若年世代の失業率は37・4%だった。昨年3月よりは減少したが、14年半ばから16年末まで続いた大型不況前と比較すると、14%ポイント高い。
昨年は17万人の若者が大学を中退
14年半ばの大型不況突入以降、データの上では16年末にようやく不況を脱出したものの、17、18年にかけての回復ペースは期待を下回っている。このような状況下、16年の年頭以降の若者の失業率が24%を上回り、今年に入ってからも更に上昇していることは、世帯収入の低下のみならず、人材育成の後退への懸念も招く。
昨年だけでも、19歳から25歳までの大学生17万人が大学を辞めているが、その理由の多くは経済的なものだ。これは若者たちの希望を摘み取るだけでなく、社会の担い手の育成が滞る事を意味する。これに伴って払う事になる〃ツケ〃の大きさは、これから先、改めて認識されるようになるはずだ。
LCAのエコノミスト、コスモ・ドナト氏は「大学中退者の増加には様々な要因がある。近年、学資ローンの機会が減った事もその一つだ。融資も受けられない上、家族の経済状況が厳しくなれば、学生たちには、学業を辞めて、家を助ける以外に選択肢はない」と語る。