サンパウロ市市役所が7日にビリェッテ・ウニコの使用基準を突如変更し、市民が混乱している。
突如の変更で混乱が生じているのは、名前や顔写真が入っていない、アノニモと呼ばれる匿名のカードだ。巷では、この種のビリェッテは残高があっても使えなくなるといった情報まで流れ、混乱を大きくした。
だが、7日付フォーリャ紙サイトや8日付現地紙によると、問題になるのは匿名のカードを新規購入する場合で、7日以降は写真入りの身分証明書の提示と納税者番号(CPF)が求められるようになった。身分証明書の提示は昨年も要請されており、目新しい事ではないが、購入時にCPFも登録されるため、各納税者は1枚のカードしか持てなくなる。また、CPFが登録されたカードの所有者は、紛失したり盗まれたりした時も、カードをブロックして使えなくした上で、残金を別のカードに移してもらう事が出来る。
これは、近年増えていたビリェッテの不正使用を防ぐための手段だ。匿名カードは誰が使ってもよいため、何枚もカードを購入後、乗客から金をもらってカードを渡し、機械に通したら窓から返させて、別の客に同じ事を繰り返させたり、1枚のカードを数人で使ったりして金を稼ぐ詐欺的用法が増えていた。
昨年1月には、サンパウロ市の公共交通を管理するSPTransが不正使用した疑いのあるカードを突然ブロックし、身に覚えのない市民まで巻き込まれる事態が起きた。不正使用によりキャンセルされたカードは昨年だけで65万枚に及んだ。今年も既に1千人以上が、ビリェッテの不正使用で起訴されたという。
なお、現在流通している5800万枚のカードの3分の2を占める匿名カードの所持者は、従来通り使用出来るし、課金も可能。だが、紛失したりした時にブロックし、残金を別のカードに移す事は出来ない。
匿名カードは月極め利用や会社からの交通費入金などには使えないため、これらのサービスを希望する人は、サイトで登録するか、指定されたバスターミナルや駅の販売所かSPTransの窓口に行き、ペルソナリザードと呼ばれる、名前や顔写真入りのビリェッテを作る必要がある。