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110回目の移民の日=今年もしめやかに慰霊ミサ=サンゴンサーロ教会で祈り捧げ

聖体を拝領する参列者

聖体を拝領する参列者

 今年も日本移民慰霊ミサが18日午前9時、サンパウロ市サンゴンサーロ教会で行われた。日系カトリック信者を中心に約90人が参列し、日系社会を築き上げた先没者を悼み、感謝の念を捧げた。
 聖書の一説が朗読され、聖歌の合唱が教会内に響いた。ナガヤマ・アゴスチーニョ神父は日本語で、初期移民の過酷な労働と生活環境を「朝から夕方まで家族総出で働いた。毎日その繰り返しだった」と説明。
 「汗水たらして土にまみれて働く姿は恥じるものではなく、その姿を思うと感謝の念が沸いてくる。ひとりで今日を生きている日系人は一人もいません。先駆者の尽力があってこそ」と説いた。
 共同祈願では日系団体や総領事館からの来賓が一人ずつ登壇し、それぞれ祈願を行った。最後には参列者が聖体を分かち合い、聖歌合唱と付近の参列者との握手でミサが締めくくられた。
 参列者の平田パウロさん(79、二世)は奥ソロカバナ線アルバレス・マシャードから50年前にサンパウロ市に移住して以来、ミサに通い続ける。父親は隠れキリシタンが多かった福岡県大刀洗村(現・大刀洗町)出身のカトリック信者。父の兄に呼び寄せられて一家で渡伯し、その後も信仰を続け今に至っている。
 「父から、土地がどうしようもなく痩せていて移住を決意したと聞いている。ブラジルに来てからも大変な苦労だったと思う」とし、十字架にかけられたキリストを見つめた。