ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》最高裁が解雇妊婦の違約金請求認める=解雇後の妊娠発覚も有効

《ブラジル》最高裁が解雇妊婦の違約金請求認める=解雇後の妊娠発覚も有効

アレシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事(Rosinei Coutinho/SCO/STF)

アレシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事(Rosinei Coutinho/SCO/STF)

 最高裁大法廷は10日、妊娠している女性従業員を正当な理由なく解雇した企業には、妊娠の事実を知らなかった場合であっても、憲法の定める、妊娠中の従業員への最低限の安定性を保証する規定に従い、違約金を支払う義務があるとの判決を下したと、10、11日付現地各紙・サイトが報じた。
 憲法では、女性従業員は、妊娠が確認されてから出産後5カ月までの間は、解雇してはならない事になっている。
 最高裁は、事前に高等労裁が出していた、「解雇時は妊娠に気付いておらず、後になって気付いた女性従業員にも違約金請求の権利がある」との判断を踏襲した。今回の判決は判例となるため、国内全ての裁判所はこの決定に倣う義務がある。同件と同じ状況にあり、最高裁の判断が出るまで審理を中止していた係争は約90件ある。
 女性従業員側に有利な判断を下したのは、アレシャンドレ・デ・モラエス、エジソン・ファキン、ルイス・ロベルト・バローゾ、ルイス・フクス、リカルド・レヴァンドウスキ、ジウマール・メンデスの各判事と、ジアス・トフォリ長官の7人で、セウソ・デ・メロ、カルメン・ルシア、ローザ・ウェベルの3判事は欠席。女性従業員に不利な判断を下したのは報告官のマルコ・アウレリオ・デ・メロ判事1人だけだった。
 「雇用主が妊娠の事実を知らなかった場合の解雇は、妊婦の保護規定を遵守すべき状況とは言えない」と主張するメロ判事に対し、デ・モラエス判事は、「正当な理由のない解雇の前に妊娠していたならば、妊娠に気付いた時期に関わらず、違約金を受け取る権利がある」と主張した。

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