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中南米で台湾と国交絶たせる?=多額ドル投資の裏で中国が狙うもの=パラグァイ在住 坂本邦雄

8月16日、パラグァイ新大統領の就任式に出席して話をするテメル大統領と台湾の蔡英文中華民国総統(Foto Taiwan Presidential Office)

8月16日、パラグァイ新大統領の就任式に出席して話をするテメル大統領と台湾の蔡英文中華民国総統(Foto Taiwan Presidential Office)

 黒人の望みは明らかだ。ドミニカのメレンゲ(西インド諸島の踊り)がそれを大へん優雅に暗示している。
 中国人の場合は、余りハッキリしないが、調べれば判らない事はない。
 中国は、サルバドル及びパナマに多額のドル投資を行なっている。
 これは最近、両国は国情の不安定化と危機に見舞われていると言うのに、何故なのか?
 実は、中国は2つの目的を追求しているのだ。
 その第一は、現在2100万人の人口を擁し、羨むべき技術発展を誇り、民主政体が成功している台湾を完全に追い出し、制圧する事にある。
 第二は、世界で一番の通商財政大国に成って、中国の覇権を確立する事だ。この、縺もつれた糸巻いとまきを解ほぐし、難問を理解するのは大切である。
 台湾島は、1895年から1945年まで、日清戦争の結果、大日本帝国の領土になっていた。
 第2次大戦後、日本人は去り、再び9億5千万平方キロ余りの中国本土の一部を構成する、小さな面積の一島(3万6千?)として復帰した。
 1948年に到り、共産主義の毛沢東に敗北した国民党の蒋介石総統は、政府共々200万人の追随者を伴って、この台湾へ逃避した。
 しかし、その為には事前に島の共産勢力と、激烈な戦火を交えなければならなかった。
 爾来、その年(1948)より世界は、台湾は中国を代表する〃幻想(まぼろし)の国〃として受け入れた。
 だが、それはそれまでの事で、1971年になって、国際連合は台湾(安保常任理事国)を追放し、代りに中国を正式に国連加盟国に承認した。これに反対したアメリカも、最終的には不本意ながら賛成した。
 1971年には、国務長官ヘンリー・キッシンジャーの手で、リチャード・ニクソン大統領は毛沢東主席を訪問し、中国とソビエト間の離反の溝を深め様とした。
 毛沢東は1976年に死亡した。その後、1979年に、時のジミー・カーター大統領は、中国を承認し、台湾との国交を断絶した。
 当時、中国は改革派の鄧小平(とうしょうへい)の主導下に、奇跡の高度経済成長の初期に在った。
 一方、台湾は1971年以降、国連の集団的加盟諸国に代わり、特に台湾に友好的な国々との選択的な外交関係を築く戦略を執って来たにも拘わらず、中国の威勢に敢えて挑もうとする国は日増しに減って、今ではその数は、殆ど重要でもない20カ国になって仕舞った。
 しかし、台湾はそれ等の国々に対して寛大な援助を惜しまない。
 最近2、3カ月の間に、台湾と国交を断った国はドミニカ、パナマ及びサルバドルだ。
 アメリカ大陸では、少なくも今まで、未だ忠節を守っている国は、パラグァイ、グアテマラ、ホンジュラスとベリーズで、奇妙にも、もう一つの国、ニカラグアがこれに加わっている。
 片や中国は、独立した台湾の存在を絶対に認めず、北京は地球上に、二つの中国は有り得ないと主張する。
 そして台湾は、1999年に香港やマカオが為した様に、本来の親許に戻るべきだと言う。
 現在の中国の経済体制とは部分的に異なった、独自のモデルを維持する、二つの自律社会システム体制である。
 これで中国が主張する、一国二体制の共存の奥義が判ると言うものだ。
 なお、台湾、香港及びマカオの素晴らしい実績が、鄧小平をして「ネズミを捉えさえすれば、猫の毛並みは何んな色でも構わない」と考えさせ、それからは、中国では「毛沢東語録」の本は焼かれ、代わりに盛んに「シカゴ・ボーイズ」の経済論が参考にされて、マルクス・レーニン主義は冷え込み、「富は栄光だ!」、の呪文が唱え続けられた。
 中米で、中国は何を遣りたいのか? 中国は長期的な視野に立っている。
 一つの巨大なHUBハブを、サルバドルのフォンセカ湾に創設し、無限の自国産品類の、物流・ロジスティクスの大拠点にし様としているのだ。
 その目的には、パナマ、ホンジュラス、ニカラグア及びコスタリカ各国へ?がる高速鉄道網を建設し、大西洋岸諸国又はアメリカ東海岸地域への商品マス輸出を計画しているのだ。
 中国は、これと同様の計画スキームをヨーロッパでも、セルビア国を通じて、バルカン地域で企画している(この場合セルビアは、中国が台湾との間で有する問題と同じ様な難題がコソボ国との間で、〃オマケ〃に為って存在する)。
 それで中国は、ギリシアのピレウス港からヨーロッパ市場を、メイドインチャイナ製品で氾濫させ様としている。
 では、何が我々には問題なのか? それは、自由、民主主義、人権と云った事に中国は全然関心が無い国だからである。
 中国は一党独裁政権であり、我がラ米の煽てられ易い、バカ共等ばかりが揃った政治屋を、惑わす良い刺激に成り易いのだ。
 SDNT=クリントン・リストやキングピンKingpin法の取締りも無い、中国の押掛けの協力である。
 OFAC=外国資産管理室及びDEA=麻薬取締局の、資金・資産洗浄、大麻密輸等の管理や規制、政府の信用度も期待できない。
 国際裁判の無い夢で、マドゥロ、FARC=コロンビア革命軍、エボ、ラウル・カストロ等や其の他、幾多の無頼の徒又は犯罪者の脅威である、組織犯罪防止の、パレルモ国際連合条約すらも意味がない。
 言うなれば、伯国のオーデブレヒトに100を乗じたものなのだ。
 一つの惑星(地球)において、海賊の旗を翻した、カラベラ船と生温なまぬるい十字軍の掛け合せなのだ。
 中国は一つの大きな栄光に見える。
(筆者註・本稿はキューバ人で米国及びスペイン帰化人でもある、ジャーナリストで著述家の、カルロス・アルベルト・モンタネル氏が、当地ABC紙に12月18日付で寄稿した記事を抄訳、参考にしたものです)。

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