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今熱い!広まる日系大型イベント=初の日本祭り主催者シンポ(下)=市川氏「日本祭りに魂を!」

集合写真

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 午後の部では、日本祭りの文化コンテンツ(中身)や、ボランティア育成、地方日本祭り紹介やその課題等について発表が実施され、活発な意見交換の場となった。

 文化コンテンツについては、折り紙展示に特化した企業を営むカトウ・タイスさんが経験をもとに、「ワークショップを通じ、周囲の人と共に一つのものを作り上げることによる達成感は豊かな人生経験となる」とその意義を説明。

 県連日本祭り実行委員の山井ケンジさんは「郷土食から始まった祭は、コスプレなど現代的文化を包摂し、老若男女に喜ばれる祭りに成長した」と総括。料理人の白石テルマさんは「郷土食ブースで楽しめるのは、外食店では味わえない日本のお袋の味」とし、和食普及に重要な役割を果たしていると強調した。

 ボランティア育成については、04年から同祭の人材コーディネーターを務めている関谷ロベルトさんが講演。04年には僅か150人だったボランティアは、昨年には10倍となる1500人にまで増加。うち8割が初参加だったという。

 「単なる労働力と見做して、指示するばかりでは人は離れていく」と話し、「まず我々が信ずる使命を明確に。ボランティアを通じて人材育成を図り、遣り甲斐とその価値を実感し、成長を促すことが何より重要」と語った。

 ボランティア指導に携わる豊田瑠美さんは「日本祭りで大切なのは、心の奥底から発露されるおもてなしの心」と話し、有村侑奘ヘンリーさんも「イベントの成否を分けるのは、大衆の心に響くかどうか。人は心で動かすものだ」と強調した。

 最後に、各地の日本祭り主催者らが講演。年々規模が拡大する勢いある地域の日本祭り運営者が登壇した。

 約4万人の集客を誇るバイア日本祭りは、5年前から運営機能を二分化し、機動力を強化。近年では入場券のインターネット販売や会場のWIFI環境を整備した。

 ポルトアレグレ日本祭りは、約8万人を動員するまでに拡大。同祭副実行委員長の土井カロル・アヤコさんは「来場者は9割以上がブラジル人。ポップカルチャーが、日本文化愛好者の入口になっている」と分析した。

 最後に、ブラジリア日本祭り総合コーディネーターの安永邦義さんは「首都には一時的に住んでいる日系人ばかりで活動に参加するのは約60世帯。会同士の連携強化が目的だった」と振り返る。当初4千人程度だった来場者数は、7年目で4万人以上に。「大企業が少なく、資金調達が難しい。でも、日本人のルーツを絶やさぬためにも今後も続けていく」と意気込んだ。

 その他、ベロ・オリゾンテ日本祭り、レジストロ灯篭流し主催者からの講演も行われた。

 最後に同シンポの市川利雄総合コーディネーターが、「各地の日本祭りには魂が込められている。年々コストが上昇するなど難しさはあるが、協力し合い、各地の日本祭りを共に盛り上げていきましょう」と激励した。(終わり)

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