【既報関連】インフラ相タルシジオ・フレイタス氏と、国内各所の自営トラック運転手組合の代表者たちの会合が22日に行われた。トラック運転手たちはディーゼル油値上げに反発し、今月29日にも大規模なストを行うと表明していた。だが、最低運賃表監査の徹底と、燃料価格の変動に応じた最低運賃の変動を政府が認めたことで、月末のストはいったん回避されたと、23日付現地各紙が報じている。
全国自営運送業者連合(CNTA)のジウマール・ブエノ会長は、「『合意』と呼ぶにはまだ早いが、我々にとって前向きな『約束』の言葉を貰った。少なくとも月末のスト実行はない」と語った。
ブラジルの物流に大混乱を引き起こした昨年5月末から6月初めにかけてのトラックスト後、「農家などから運賃を極端に値切られることがないように」と、定められたのが最低運賃表だったが、実際には独自の運送網を築く業者や運賃表以下の料金で請け負うよう強要する依頼主がいたりして、厳格には遵守されていなかった。
政府はその監査を厳しくすると約束。ディーゼル油価格が2月以降、10%以上上がっており、運転手たちの負担経費も上がっていることを考慮して、最低運賃表を今月29日までに引き上げることも決まった。
トラック運転手のリーダーの一人(通称デデッコ)は、「監査は運転手たちにやらせるべき」と主張したが、監査は国家陸路輸送庁(ANTT)と政府が行うこととなった。タルシジオ大臣はまた、最低運賃表以下で仕事を請け負わされ、依頼主を告発した運転手への罰金を廃止することも約束。デデッコも味方のトラック運転手たちに、「ひとまず落ち着け」とメッセージを発した。
ボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)は、大臣とトラック運転手たちの会合前も「ストにはならない」と楽観していたと、オタヴィオ・バロス広報官は明かした。
地元紙記者が見た、会談の様子を撮影したビデオには、最低運賃厳格化と、燃料価格に応じてコンスタントに最低運賃を変動させることを強く大臣に要求するトラック運転手たちの姿があった。また、泣きながら「我々にも労働者として尊厳ってものがある」と詰め寄る場面も見られた。
フレイタス大臣は、「燃料価格に応じた最低運賃の適宜変更を近日中に決める。そうすれば、燃料価格が上がっても問題ない」と答えた。
ただし、トラック運転手たちの中では、政府の返答に満足せず、スト実行を主張するグループと、政府を信用して待とうと主張するグループの間で亀裂が生じている。
運転手たちの主張の裏には、本当に経済的に限界に達していて穏健策など取れないとの思いや、昨年の選挙で投票したボルソナロ大統領の政権運営を妨げたくないとの思いが交錯していると、地元紙は分析している。