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第27回虚子忌全伯俳句大会=中馬和子さん、3度目の1位=「平仮名も忘れし母に南瓜煮る」

参加者の集合写真

参加者の集合写真

 聖州リベイロン・ピーレス市と同日伯文化協会(沢田エベテ実行委員長、村木アントニオ会長)主催の「第27回虚子忌全伯俳句大会」が21日、同市役所で行われた。1位には「平仮名も忘れし母に南瓜煮る」等を投句した中馬和子さん(70、鹿児島県)が選ばれた。天気に恵まれた今大会には34人が参加した。

1位に輝いた中馬和子さん

1位に輝いた中馬和子さん

 参加者一行を乗せたバスは聖市リベルダーデ日本広場を出発し、午前9時15分頃リベイロン・ピーレス市役所に到着。敷地内にある高浜虚子の句「三日月の匂やかにして情あり」が刻まれた石碑に、小斉棹子さん(82、北海道)と西川明美さん(73、二世)が献花を行った。
 今回初参加の安中攻さん(76、北海道)は、「順位等は考えず楽しみたい」と心境を語った。
 開会式では先亡者への黙祷が捧げられ、村木会長が「毎年ここで開催できることを感謝している」と挨拶を行った。
 今大会の兼題は「虚子忌」「秋の声」「南瓜」「星月夜」「パイネイラ」の5題。特別選者は小斉棹子さん、永田美千代さん(87、栃木県)、広瀬芳山(75、神奈川県)、吉田しのぶさん(83、広島県)の4氏が務めた。
 全参加者は5句まで投句でき、特別選者が特選と次点を含めた10句を選句する。他の参加者は気に入った5句の互選を行う。順位は特別選者選と互選の総合得点からなる。
 午前中は投句された約170句を全員が回し読んで互選をした。昼食休憩では弁当と味噌汁、煮物が振る舞われた。
 午後には選句発表がなされ、披講士が選句を読み上げていくと、会場は盛り上がりを見せた。
 1~5位の受賞者にはトロフィーが、6位~15位の受賞者と特選の作者には記念品が贈られた。3度目の1位に輝いた中馬さんは「感激でいっぱい。次も頑張りたい」と感想を話した。
 特別選者の特選、次点受賞句は次の通り(敬称略)。
【小斉棹子選】特選「平仮名も忘れし母に南瓜煮る」(中馬和子)、次点「甲板のしぶき治まり星月夜」(宮川信之)
【永田美千代選】特選「三日月の句碑の風情や秋の声」(林とみ代)、次点「墓碑拝む松籟に聞く秋の声」(吉田しのぶ)
【広瀬芳山選】特選「守り継ぐ二世の心虚子祀る」(西谷律子)、次点「パイネイラ思い出があり村があり」(畠山てるえ)
【吉田しのぶ選】特選「拓魂の廃墟見下すパイネイラ」(久保一光)、次点「住み古りし此処が古里パイネイラ」(中馬和子)


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 「第27回虚子忌全伯俳句大会」で、特別選者を務めた小斉棹子さんは「参加者が毎年減っているのが本当に残念」と口にした。今大会の参加者は34人だったが、過去には100人以上の参加があった。同じく特別選者を務めた広瀬芳山さんも「駐在員や日本人留学生など、もっと新しい若い人を巻き込みたい」と話した。記者(22歳)も大会に参加したが、同じ20代の参加者はおらず、70代以上の参加者が殆どだった。日本を代表する俳句文化の継承のために、参加者一同で若年層の参加者獲得に向け、早急に行動を起こしてほしいところ。
     ◎
 「虚子忌全伯俳句大会」で1位に輝いた中馬和子さんの句の中で、特に評価が高かった作品「平仮名も忘れし母に南瓜煮る」は、自身の体験が元になっている。日本語教師だった中馬さんは、認知症の母に学校の教材を試したところ、思い出せない平仮名があったという。上の句の「も」には、簡単な平仮名さえも忘れてしまった母への切なさが込められている。

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