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ブラジルで得た、自分への自信と未来への期待=2018年度ブラジル日本交流協会生体験談=井上雅子

 ブラジル日本交流協会(神戸保会長)=サンパウロ市所在=の日本事務局は、日本在住の青年に対して2020年度の研修生募集を行っている。その一環として、3月に帰国した4人に、この1年間のブラジル体験を書いて送ってもらった。20代青年らの新鮮な体験は、ブラジル在住半世紀を越える移住者にとっても、若き日々を思い出すような内容。本日から掲載する。 

ブラジルで得た、自分への自信と未来への期待

井上雅子さん(32、福岡県)研修先はHOSS建設

井上雅子さん(32、福岡県)研修先はHOSS建設

ブラジルに渡る理由は人それぞれです。
 私の場合、以前リオへ1人旅した時に感じたブラジルと日本の違いをより明確に理解することが目的でした。
 違いを知ること=考え方を豊かにすること。
 ブララルで得たもので、私はこれからの人生をいいものにするんだ―――。
 …というカッコ良さげな動機に隠れて「コンプレックスを跳ね返す自信が欲しい!」という願望が私にはありました。
 私は大学を4年生の冬に中退し、通信販売会社に勤めはじめました。社員は私だけという小さな会社です。会社員生活を送っていた9年間、大学中退の事実は、私が想像していた以上に大きなコンプレックスとして、私を苛んできました。
 同世代の多くは大卒と履歴書に書けるのに、私はできない。転職を考えた時にも「中退を雇う会社が他にあるか?」と、不安で断念しました。
 自分に自信が持てないのが辛かった。
 「外国で1年過ごせば自分に自信が持てるんじゃないか…」
 この想いが、私にブラジル日本交流協会への応募を踏み切らせました。
    ☆
 そして、研修を終えた現在…。
 悩んでいたあの頃の自分に「大正解だったよ!君の選択は間違っていなかった!」と胸を張って言ってあげることができます!
 わからない事は恥ずかしがらずに質問し、指示は繰り返し確認する。複数の予定を並行してこなしながら、とっさの依頼にも対応もする。公私の切り替えを持ち、自分のしやすいミスを把握して、回避出来るように準備しておく。体調管理は社会人の基本だから疲れがでる頃にはリフレッシュする時間をとる。大変な時でも笑顔を失くさないように、心のケアも忘れずに…。
 日本では「出来て当たり前」と言われてしまうこれらのことごと。9年間の社会人経験を経て、これらは私の癖の様になっていました。そして、これらの習慣はブラジルではとっても評価され、私の研修を引き受けてくれたHOSS建設のみんなは「いつも笑顔で元気だね」「なんでも任せられて安心」と言ってくれるのです。
 私は徐々に「ここまで言ってもらえるという事は、ちょっとは自分に自信持っていいんじゃないのか?」と思えるようになっていきました。
 中退の経歴は消えません。でもその後の社会人生活で得た経験が、ブラジルの会社で役に立ったのです。
 「だから、日本でも大丈夫」――そう思えることが、とても嬉しいです。
     ☆
 話は変わって、ブラジルに住んで驚いたのが、働きながら勉強する人が多いことです。
 20代の子が午前中は働いて、午後に大学に行く。30代の人も転職のために夜間コースをとり、40代の人は大卒を得るために夜大学へ通う。
 その背景には、働きながらでないと学費を作れない、学歴が就職や給料に直結しているといった事情があります。
 だからといって、仕事と勉強だけの生活を送っているわけではありません。遊ぶし、飲むし、旅行もします。家族や友人との時間も大切にします。
 「毎日忙しいな!」と、私はそのバイタリティの強さに驚かされました。そして同時に、自分のことが恥ずかしくなったのです。
 私はコンプレックスをくすぶらせるだけで、何もしなかった。できないと諦めていた。頑張らなくても生きていける当時の状況に甘えていた。
 ブラジルで自分の人生をもっと良くしようと頑張る人達と出逢った今は、こう思えます。
 「私にだって、できるはず」。自分自身に期待を持てるようになれたのも、ブラジルに来たからこそです。
     ☆
 帰国して約1カ月。新しい仕事を覚えつつ、得意なWEB関係の勉強を始めました。そしてお金を稼いだら、今度こそ大学を卒業したいです。めげそうな時は、地球の反対側にいる友人達を思い出すでしょう。彼らは私のお手本です。
 振り返ると、大学を中退して良かったとは口が裂けても言えないけれど、しなければブラジルと無縁のままだったはずです。そう考えると、「私の人生まあ悪くないよね」と思えるようになりました。
 それもこれも、心配しつつ送り出しくれた家族や友人達、交流協会を続けてくれた先輩方、ブラジル側の運営委員の方々、いつも支えてくれた伴侶とその家族、受け入れてくれたHOSS建設の方々、出逢った多くの友人達、そしてブラジルという国のおかげです。
 心から感謝し、少しでも恩返しを続けていきたいです。
 ありがとうございます。
 そして日本でくすぶっている人達へ。
 ブラジルへおいでよ!ブラニチみたいな制度、他にはないよ!
 ブラジルで自分の人生、変えようよ!!

 2020年度の研修生募集期間は7月31日まで。募集人数は15人程度。参加要件は、①2020年4月1日時点で成人している②高等学校卒業もしくはそれと同等以上の学力を有する③犯罪歴が無い④日本事務局が開催する募集説明会に参加していること。
 参加費用として約100万円が必要で、半年間の派遣前研修を日本で受けてから渡伯する。応募、詳細問い合わせは同協会HP(http://anbi2009.org/)から行う。
 同協会は、1981年設立の「日本ブラジル青少年交流協会」が前身となっている。日伯両国の文化、経済交流の活発化を期するガイゼルブラジル大統領と永野重雄日本商工会議所会頭が発起人となり、斉藤広志サンパウロ州大学教授、玉井義臣あしなが育英会会長らが協力。後に内閣官房長官を務める藤村修氏が事務局長として活動を支えた。2007年以降、OBらが組織を再編。ボランティア団体として活動を継続し、現在に至る。同協会を通じて研修を行った人数は、750人以上に上ぼる。

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