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県連故郷巡りカリフォルニア=150周年、満砂那(マンザナー)に平和を祈る=《1》=全米日系人博物館で固唾を飲む

ルート66の終着点で畠山富士雄さん(75、二世)と奥さん

ルート66の終着点で畠山富士雄さん(75、二世)と奥さん

 ブラジル日本都道府県人会連合会(山田康夫会長)が主催する「第50回故郷巡り―カリフォルニア2019」が4月9日から17日まで開催され、53人が参加した。昨年の故郷巡りは移住150年を迎えたハワイ、今年は若松コロニーから始まった本土移住150周年を迎えたカリフォルニア州の日系人らと交流した。ロサンゼルス、サンフランシスコの日本人町も訪れ、4月12日にはマンザナー強制収容所で慰霊法要を行った。4月末には全米の日系人ら2千人がマンザナーに集まって集会を開くなど、期せずして同調した動きとなった。

 一行はロス国際空港から高級な海岸リゾートのサンタモニカに直行、有名な桟橋「サンタモニカピア」を観光した。北米大陸横断道路「ルート66」の終着点があることで有名。この66号線は8州の300以上の町を通過する全長3755キロに伝説のハイウエーだ。1920年代から80年代までの大動脈であり、道路沿いのモーテルやレストランなどの街並みというアメリカの原風景を作った街道といわれる。
 一行の畠山富士雄さん(75、二世)は「15年前に息子と二人で、シカゴからここまで一週間かけてドライブしましたよ。ここに来るのは3回目。なつかしいね」とほほ笑んだ。
 大学留学してそのまま住み着いたというアメリカ在住35年の現地ガイドの松本利重子さんは、「西海岸では一番有名なビーチ。日本なら若者が集まる原宿みたいな感じ。アーノルド・シュワルツネッガーもこの近くのジムで身体を鍛えていたそうです。映画などの撮影風景はしょっちゅうです」とのこと。
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博物館の展示。「Keep California White」と書かれた選挙ポスター

博物館の展示。「Keep California White」と書かれた選挙ポスター

 「Keep California White(カリフォルニアを白いままに)。選挙でこんな標語がまかり通った時代があったんです」――10日午後3時にロスのリトルトーキョウ内に立地する全米日系人博物館に到着。館内ガイドは、20歳で米国留学してそのまま現地在住43年の福岡県人、山田ロッキーさん(63)は、そう言って標語が書かれた選挙ポスターを指差し、一行を驚かせた。日系人や黒人などの有色人種への迫害が公に叫ばれた戦前のものだ。
 さらに「大戦中に日系人を強制収容した歴史は、民主主義を理念とするはずの国で、平等が忘れ去られたことをしめすもの」と語り、一行は固唾を飲んで説明に聞き入った。(深沢正雪記者)


□関連コラム□大耳小耳

 「トランクがない!」―9日午後グアルーリョス国際空港を出発した県連故郷巡り一行は、ユナイテッド航空機で10日午前10時、米国ロサンゼルス国際空港に到着したが、いきなり9人分の荷物が行方不明に!クイックリートラベル添乗員がすぐに遺失物手続きをし、その日の深夜までに荷物は無事に宿泊する都ホテルに届けられ、事なきを得た。荷物がなくなった一人、県連職員の伊東信比古さんは翌朝、「夜中まで荷物を待ってる間に4本も缶ビール飲んじゃったよ」と言って笑っていた。

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