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【日本移民の日2019】将来に向かって=ブラジル日本商工会議所 会頭 村田俊典

商工会議所村田会頭

商工会議所村田会頭

 6月18日に「日系移民111周年」を迎えるにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
 日系ブラジル人の数は190万人にのぼると言われ、間違いなく世界最大の日系社会がブラジルでは築かれています。当初は、協力して困難に立ち向かい、言語やコミュニケーションの壁を一緒に乗り越えて、日本人移民として一体感を持つという「民族」を軸とした概念が中心であったと思います。
 しかし、三世、四世、五世が中心となる現在は、日本の「文化」という軸を中心に、日系ブラジル人のみならず、多くのブラジル人が色んな形で「日本」を取り入れ、共感して生活しています。各地で行われている様々な「日本祭り」、週末は多くのブラジル人で混雑する「リベルダーデ地区」、ブラジル各地に広がる「日本料理店」など、今やブラジル人になくてはならない生活の一部です。
 111年の時を経て繋げてきた歴史であり、先達の皆様のご努力の賜物だと改めて感激すると共に、心から感謝いたします。
 この111年間のうち、特に最近の30年に目を向けますと、民政移管後ハイパーインフレーションなどのブラジル経済危機からブラジルが少しずつ着実に成長をしてきた時期でもありますが、1990年代にはじまる日系ブラジル人の日本就労の波により、多くの二世、三世が海を渡る現象が起こります。日本にそのまま定着する人たちや、日本とブラジルの往復をする家族も多いと聞きます。ブラジルの生活環境、経済状況を表す鏡のような現象で、ブラジルにとっては少し残念なことかもしれません。
 しかし、商工会議所の会員である多くの日系企業の中を見渡してみると、日本の小学校、中学校、高校で勉強し、ブラジルに戻り大学を卒業した優秀な日系三世や四世に出会うことができます。
 彼らは、日本とブラジルの両方のアイデンティティを持ち合わせたハイブリッド世代です。しかも、日本文化にアジャストし、ブラジル文化に再アジャストするという、ダブルの苦労を乗り越えて作られた芯の強さを持ち合わせています。
 苦労と言えば、「中学や高校のクラブ活動が自分(ブラジル人)と日本人の間を埋めた」という話を聞いたことがあります。一緒に流した汗がお互いの垣根を超え、分かりあえる世界を作り上げたのだと思います。日本のクラブ活動は、一般的なブラジルの学校教育では見られない日本独特のものかも知れませんが、意外なところに価値観のルーツがあるものだと心を打たれた記憶があります。
 今は、イノベーションや第4の産業革命が企業の栄枯盛衰を決めて行く厳しい環境です。足元のトランスフォーメーションに向かって、新しいものをどんどん取り入れて行く必要があります。日本企業は平均してモノカルチャー企業が多く、日本とブラジルの双方の良さを体感しているこのようなハイブリッド世代が、これからの企業の中では大きな力を発揮するに違いありません。だからこそ、企業側もこのような世代を温かく迎え入れて育てる気持ちが必要です。
 将来に向かって、日本とブラジルの二つの価値観やアイデンティティを持ち合わせた三世、四世が次の日伯の礎の一部を担って欲しいと思います。
 「民族」から「文化」、そしてこれからは「新しい価値観」を軸に日本とブラジルの関係が未来に向かって拡大してゆくことを願いますし、現在日本に残っている日系ブラジル人がさらに多くブラジルに戻り、活躍出来るように商工会議所も協力していきたいと思います。

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