ホーム | コラム | 特別寄稿 | 島から大陸をめざして=在米 村松義夫(JAC日米農業コンサルタント)=最終号

島から大陸をめざして=在米 村松義夫(JAC日米農業コンサルタント)=最終号

頑張れ日本農業、農業後継者諸君(本人提供)

頑張れ日本農業、農業後継者諸君(本人提供)

 「北米農業視察事業」は911テロ事件から、翌年の9月までの1年間の視察依頼予約の総てがキャンセルとなった。だが全員、半年間継続して仕事に専念してもらった。
 その後も視察依頼の保証が得られず、本社と東京支社に数名残して翌年の9月まで続けたが、一向に将来の見通しが立たず、2003年に総ての資産を売却し、銀行からの融資の総てを返済し、従業員に退職手当を支給した。ゼロから始めた事業で25年もの長い間よく続けられたものと、日米に感謝しゼロとなって会社を閉鎖した。
 1年間は何も手につかず日本へ旅をした。静岡県浜松市で生まれ、掛川市で育ち、東京で海外雄飛を知り、28年の島国生活から飛び出し、大陸の米国に渡り半世紀を過した。
 この日本への旅で初めて地方を訪れ、食・習慣・言語・文化、そして農業の総てに違いがある事を知り、この歳まで本当の島国を知らなかった事に驚きを隠せなかった。
 掛川市の地元農業についても、東京と大阪を結ぶ最高の条件地域に有りながら、高齢化が進み、農地がすっかり宅地化された変化に驚いた。全国では農業後継者の数が激減し、農家の平均年齢は65歳となり、5年10年後を想像した時、田舎の農地は荒れ果て過疎化するであろうと思われた。
 都会に出た後継者は、定年を迎えて帰郷する人も少数いる。だが、それは小規模な自給と趣味の農業者となるだけである。
 反面、規模拡大し農企業としてやる気のある若い世代の農業者は、この機会を好機と捕らえ、ハイテクを駆使し儲かる農業を確立している。
 苺・軟弱野菜・柑橘果樹等で、施設内で年間を通して生産できる農家や、放牧で自然酪農の有機乳の加工、そして直売。放し飼い養鶏で健康な鶏卵生産をする農家、米作農家も更なる良質米を目指す農家。農業法人や企業が農業生産に進出している状況も自給に貢献するであろう。
 しかし、農地の休耕が増え続け、雑草が茂る山間地が車窓からも目に付き残念に思った。
 少子高齢化が今後、深刻な国家の労働問題、経済問題になる。政府は技能労働者の受け入れ枠の拡大に踏み切った。アジア諸国からの定住者が国内に増える事で、日本人も次第に他民族との融合、共存の社会形態となって行くだろうか。
 またテクノロジーは進化を続け、AIが自動運転を可能にし、商品の配送はドローンが行い、家庭の電化は自然や水素にとってかわる。ロボットは更なる進化を遂げ、労働者に取って変わる。医学界も医薬・機械の進歩を遂げ、人生100歳迄も可能となる。
 農業も更なる進化で、汗を流す労働がAI搭載の機械に変わってくれる。そんな夢の時代が来れば少子高齢化の心配はなくなる。
     ◎  
 故郷では、父母の墓参と同時に、森町の父方の祖父の本家、春野町の祖母の本家の墓参が出来た。兄弟姉妹も高齢化したが元気で暮している。
 田園地を散策し、少年時代の思い出にふけって過ごす事ができた。今、ロスアンジェルス郊外の砂漠の中、シニアー・コミニテーで同世代の高齢白人達とゴルフクラブを片手に散歩を兼ね、トランプ大統領について会話しながら仲良く暮らしている。(完)

image_print

こちらの記事もどうぞ