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「ブラジル人雇用奪われる」と警告=〃ネギ王〃が講演「日本語が大事」=CIATEコラボラドーレス会議

〃ネギ王〃斉藤ワルテル俊男さん

 「自分を信じて諦めず、1番を目指して努力を続けた。だからここまで来れた」。斉藤ワルテル俊男さん(51、二世)=埼玉県児玉郡上里町在住=は、『2019年度CIATEコラボラドーレス会議』でそう自らの〃人生の哲学〃を力説した。同会議は、CIATE(国外就労情報援護センター、二宮正人理事長)が今月10日に、文協貴賓室で主催。今回は『在日日系就労者の労働、教育及び企業~入管法改正30周年を迎えて~』をテーマに、斉藤さんも含め8人が講演し、来場した約125人から活発な質疑応答も行われた。

 斉藤さんは『葱王』と呼ばれる長葱のブランドを日本で生み出し、在日日系ブラジル人の中で最も成功した起業家として名高い。当日は、『経営者の視点から見た日本における外国人労働者市場の将来』と題し、講演を行った。
 斉藤さんは、事業の中でもデカセギ師弟の教育に特に力を入れている。「両親は子供の教育を大事にする義務がある」と強調し、「今年4月から外国人受け入れに舵を切った改正入管法が施行され、日本語を熱心に学ぶアジア系労働者が増えた。このままではブラジル人の雇用が奪われる」との危機感をつのらす。
 日本へ働きに行く人に対し、「必ず日本語を学び、習慣も身につけてほしい」と呼びかけ、「自分は日本語が分からない人になりたくなかった。だから、日本語を身につける道を選んだ。礼儀は相撲、柔道で学んだ」と実体験から語った。
 午前の部は、厚生労働省職業安定局外国人雇用対策課長の石津克己さんが『最近の日系人の雇用情勢と政府の施策について』を講演。質疑応答で「新しいビザの施行で、日本人と外国人労働者の間に軋轢はあるか」という質問に対し、「日本人は外国人と共生する訓練、心の準備が足りない。だが差別はあってはならない」と断言した。

尾崎正利さん

 NPO法人労働問題研究所の尾崎正利理事長の講演後は、CIATEの日本語教師・ラファエル・メルゼールさんが登壇。CIATEでの日本語講座が、日本でどのように役に立つか生徒の事例を交えて紹介した。
 日伯経済文化協会の栗田政彦専務理事は、ブラジル人が増えている茨城県常総市のプロジェクトを例に挙げた。「地域社会で移民の子供を育てる動きが必要」とし、教育・職育・社会の3分野における取り組みを紹介。「受入国の人材投資、危機管理が必要」と述べた。

ラファエル・メルゼールさん

 メルゼールさんの友人のナタリア・ソアレスさん(24)は、「斉藤さんの話が一番印象的だった。初めてそんなブラジル人がいると知った。経営者らしい刺激的な講演だった」と感銘を受けていた。


□関連コラム□大耳小耳

栗田政彦さん

 『2019年度CIATEコラボラドーレス会議』における日伯経済文化協会の栗田政彦専務理事の講演では、「外国人は日本語が不十分な上に、教育や子育ての方法が分からず、キャリア形成で大きな問題がある」と指摘。茨城県常総市のプロジェクトの事例から、地域社会で課題を共有し、公立学校とブラジル人学校が連携して行っている支援方法を紹介した。その中には自らのルーツを知るための移民史の学習も。来年は中卒の外国人に向けた夜間学校が、同市に設置されることも発表された。この取り組みは、他地域にも展開するべきでは?

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