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日伯の「柔道協力覚書」署名式の報道に接し、日系社会の皆様へ=ブラジル講道館柔道有段者会 名誉会長 岡野修平

将来的には、このような小中学校の生徒に授業で柔道と武道精神が教えられる(提供写真=インスチトゥト・チアゴ・カミロの生徒たち)

 2020年2月10日、ブラジリア・スポーツ庁講堂で、スポーツ協力に関する覚書及び、「柔道協力覚書」に関する署名式が実施されました。
 我々柔道関係者として、公教育へ柔道を導入するテーマは、長年の悲願でもあり、嘉納師範の教示された「教育こそ人類の百世に通じる大事業である」を、ブラジルの大地で実現することでもあります。
 2016年、ブラジル政府と日本政府の間で手交されたスポーツ協定は、2020年の東京オリンピックまでの4年間、実施される約定でした。今後もこのプロジェクトが継続されることは、ブラジル柔道界にとって大切であると考え、昨年10月、故関根隆範会長が訪日し、日本スポーツ庁、筑波大学総長、講道館長などを歴訪し、その実績と、柔道を通じて人格を形成してゆく、このプロジェクトの重要性を説明し、継続を要請しました。
 その結果、今回の「柔道協力覚書」として締結されたものであると認識しております。
 この背景には、正しい柔道の在り方を心がけて、ブラジル各地で、柔道を指導している方々の、長年の努力に負うところが、多々あると考えています。
 今後の我々の取り組みは、単に日本の学校教育の仕組みを学ぶのではなく、ブラジルの移民大国の長所を生かした柔道教育の仕組みを、ブラジルの柔道指導者たちが皆で考え、創り上げてゆくことが大切と考えています。
 その提案の第一として、公教育に関わる柔道教師の育成が不可欠ではないかと思われます。
 公教育に携わる教師は、単に柔道の技術のみを教えるのではなく、しっかり幼児教育の基本である教職課程を学び、子供たちの年齢別の体力、発育学、児童心理学、道徳など学んで、その見識を高めるべきではないでしょうか。
 具体的には、各州立大学の体育学部の中に、柔道学科を設け、柔道教育専門の教師を育成ししてもらいたいです。ちなみに日本では、武道学科を設け、相撲、柔道、空手その他武道を含めた学科になっています。
 以上、「柔道教師育成の仕組み」を創り上げるには、尚、数十年の歳月が必要と思われますが、あらゆる国の文化を網羅した、この制度はいずれ、世界各国へ受け入れられることと確信しております。
 最後にニッケイ新聞紙上を借りて、ブラジル各地で長い間柔道を指導してきた、多くの柔道関係者の皆さんと、お世話になった日系社会、日系企業、日本国外務省、講道館、筑波大学の皆様に、お礼と感謝の意を伝えたいと思います。
(2020年2月20日記)

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