「検査は陽性だが、体調は良好だ」――ボルソナロ大統領は6日、体調を崩したことから新型コロナウイルスのPCRテストを受け、翌7日正午に検査結果を発表した際、そう公言した。大統領はこれまで一貫してコロナウイルスを軽視する言動を行い続け、国際的にも有名になっていた。7日付現地サイトが報じている。
ボルソナロ大統領は6日、38度の熱と体の痛みを訴えたことで、PCR検査を受けることを決め、その日に実行した。検査では肺のレントゲンの撮影なども行なった。この時点でコロナウイルスに典型的な症状が出ていたことから、この日のうちにコロナの陽性反応が有力視されていた。
そして7日正午、大統領は自ら「コロナウイルスに感染した」ことを発表した。大統領はこの発表で、最初はマスクをしていたが、途中で距離をとってからマスクを外して取材陣に語り始めるなど、かねてからのコロナ軽視の態度を変えなかった。「大丈夫だ。昨日に比べればだいぶいい。肺もきれいだ」と語った大統領だが、65歳で年齢的にはハイリスクのグループに入っている。
大統領によると、これから数日は大統領官邸で自宅作業を行うといい、予定されていたバイア州やミナス・ジェライス州への行事参加はキャンセルするとした。
ボルソナロ氏は4日にブラジリアで米国大使館主催の米国独立記念日を祝う昼食会に三男のエドゥアルド下議やエルネスト・アラウージョ外相らと共に参加。そのときにマスクの着用はなく、アラウージョ氏と抱き合う姿なども見られていた。その後には、サンタカタリーナ州を訪れ、爆弾サイクロンの被害に遭った地域を訪れていた。
6日には、70歳のパウロ・ゲデス経済相を含めた5人の閣僚と閣議をし、複数の連邦議員と接触していたと報じられている。
大統領のコロナ感染疑惑はこれがはじめてではない。3月、米国のフロリダ州マイアミを訪れた際、大統領府通信局(SECOM)のファビオ・ワインガルテン局長を始め、連邦政府関係者の20人以上がコロナ感染した際にも感染が心配され、テストを受けていた。その時を含め、大統領は3度テストを受け、いずれも陰性と判断されていた。だが結果を公表しないことから、エスタード紙に訴えられ最高裁まで上告された時点で、はじめて結果を公開していた。
大統領は、新型コロナが中国や欧州で大流行していた頃から「あんなものはグリペジーニャ(ただの風邪)」「マスコミは騒ぎすぎ」と軽視の姿勢を崩さず、反連邦議会・最高裁を訴える反民主主義デモでもマスクを付けずに参加し、支持者と接触行為を行うなど問題行為を繰り返していた。さらに州や市が推進する外出自粛令を終わらせようと支持者に訴え、全国規模での車両デモ(カレアッタ)を先導していた。
ボルソナロ氏がこのような行為を続けている間にブラジルでのコロナの感染者は160万人超え、死者は6万人超えといずれも世界第2位を記録。大統領の行為は国連をはじめ、国際的に問題視されていた。