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《ブラジル》PIXが16日から本格始動=デジタル化で業務迅速化

PIXを使うための画面(Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)

 24時間365日即刻決済、即刻送金が可能なPIXが16日から本格稼働を始めたと16日付現地紙サイトが報じた。
 支払いや送金のデジタル化推進のためのPIXは、従来の送金システムのように銀行の営業時間に縛られる必要がない。いつでも、どこでも、実質的なリアルタイム(10秒以内)での送金が可能だ。PIXの統括者は中央銀行で、利用者が増えれば金融市場の競争が盛んになり、紙幣の使用量も減ると見られている。
 PIXは3日からの試験運用期間を経て、16日に本格スタートした。試験期間中にPIXを利用した商店は、送金や支払いの迅速化と経費削減効果を確認した。法人向け手数料はデビットカードやクレジットカードより安く、経費が減るからだ。
 個人が使う場合の手数料は無料。だが商品やサービスの代価を受け取る時や、窓口や電話で送金や支払いを依頼する場合は、個人でも手数料がかかる。

 中銀のブレノ・ロボ氏によると、ブラジルでは送金や支払いの70%は現金で行われているが、PIX導入で、10年後の比率は60%程度に減ると見られている。PIXは中銀が承認した734の金融機関(サイトにより762)に口座を持つ個人や法人が利用できる。16日現在でPIX適用を見合わせている金融機関は19のみだ。
 中銀によると、10月5日以降、PIXに登録した個人や法人は3千万を超え、携帯電話の番号などの「鍵」となるデータは7100万以上登録されている。異なる金融機関間の送金は190万回以上行われ、7億8千万レアルを超える金が動いたという。
 PIXを使うには、納税者番号(個人ならCPF、法人ならCNPJ)やeメール、携帯電話の番号、EVPと呼ばれる数字か文字によるコードのいずれかを登録しておく必要がある。
 実際の送金時は、携帯電話が提示するリンクやQRコードで送金相手を指定する。PIXに登録した店で買い物をした場合は、店が示したQRコードを携帯電話で読み取って支払い手続きを行えば良い。
 現時点での送金はインターネットを使うが、来年からはインターネットが不要なオフラインでの利用も可能になる。将来的には、口座引き落とし用の「サッケPIX」も導入されるという。
 PIXによる送金や支払いはリアルタイムで行われるため、各金融機関は詐欺や資金洗浄などが疑われる送金を阻止するための基準などを設けている。犯罪者に悪用された事が明らかな時は、正規の手続きを踏めば、受取手の同意がなくても返金してもらえるという。

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