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《記者コラム》決選投票注目の若き左派トリオ

左よりボウロス、マリリア、マヌエラ氏(Twitter) https://twitter.com/DCM_online/status/1329139673759961088

左よりボウロス、マリリア、マヌエラ氏(Twitter)
https://twitter.com/DCM_online/status/1329139673759961088

 29日に全国市長選の決選投票が行われているが、そこに3人の若い左派候補者が残っていることに注目が集まっている。
 その3人とは、サンパウロ市のギリェルメ・ボウロス氏(社会主義自由党・PSOL)、南大河州ポルト・アレグレのマヌエラ・ダヴィラ氏(ブラジル共産党・PCDoB)、そしてペルナンブッコ州レシフェのマリリア・アラエス氏(労働者党・PT)だ。ボウロス氏38歳、マヌエラ氏39歳、マリリア氏36歳。いずれも国を代表する大都市の決選投票に、ここまで若い市長候補者が残っていることはかなり珍しい。

 3人が健闘しているのは、それぞれ知名度を高める話題が以前にあったためだ。ボウロス氏は18年大統領選への出馬、マヌエラ氏は同大統領選でのフェルナンド・ハダジ氏(PT)の副候補。そしてマリリア氏は、ペルナンブッコ州一の政治一家でブラジル社会党(PSB)の創始者ミゲル・アラエス元知事の孫で、14年大統領選中に飛行機事故死して話題となったエドゥアルド・カンポス氏のいとこ。
 しかも、同選挙の対立候補であるジョアン・カンポス氏は同元知事のひ孫であり、同じ一族による骨肉の争いだ。

 マリリア氏はカンポス氏の政治姿勢を見て「これはもはや左派ではない」と反目し、PSBを離党しPTに移籍。自らの政治信条のために政治家一族を抜けたその反骨精神は、地元では大いに話題を呼び、高く評価された。
 今回の市長選でこの3人は、いずれも2位となっているが、しぶとく決選投票まで残った。だが、左派支持者を見ていると、それでもかなり満足度は高そうに見える。なぜか。
 それは、2016年のPT政権崩壊後、久しぶりに将来有望な話題が出来たためだ。彼ら3人くらいの若さなら、2022年の大統領選ではまだ時期尚早でも、26年、30年の選挙でも、まだ40代。今のうちから、大都市の市長選で健闘しているほどだ。2030年代にはかなり期待できる存在にもなりうる。
 それは「ボルソナロ大統領の親衛隊」のような社会自由党(PSL)の議員たちと対照的イメージにもなっている。大統領三男エドゥアルド氏やカルラ・ザンベッリ氏なども年齢的には若く、18年の下議当選後はそれなりに期待も注目もされたはず。
 だが、やっていることがフェイクニュースの拡散や民主主義に対する暴力行為で大統領の足を引っ張る存在となっている。
 それとは対照的にボウロス氏ら左派の若手は、世間の注目がボルソナロ政権に向いているあいだに、女性、有色人種、LGBT、貧困者といった社会的弱者の保護を訴えるという、彼らの政治信条の基本に則り、草の根的に支持を広げ、「若きカリスマ」になりつつある。
 こうした存在は現状で中道勢力にもいない。長い目で見て注目したい存在だ。(陽)

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