「死んだら何も持っていけない。どうせなら後世に何か残したい」――壮大な構想を携えて11月6日に来社した下本八郎元州議は、そう心中を吐露した。下本氏のプロジェクトとは「国際パーク」建設。日本の城や伝統建築を模した建物を作って日本色を全面に押し出し、さらに中国・韓国・ポルトガル・スペイン・イタリアといった6カ国のレストラン20店を収容するグルメ館や大講堂も作る予定。「国際パーク」出入り口には鳥居を設置する予定で、「サンパウロ市の新たな観光地になるはず」と頷いた。
グアルーリョス国際空港から程近い総面積16万ヘクタール土地に、建築面積15万9150平方メートルの建物や、12万平方メートルの立体駐車場7棟、車700台とバス200台が駐車できる屋外駐車場、ゴルフ場を有する大型施設になる予定だ。
日系社会の一大イベント、県連日本祭りを例に「年に一度サンパウロ・エキスポを借りて開催しますが、借りても今年のように開催できない事もあります。日系社会で有する施設があれば、自由に使えて使用しない時は貸し出して収入になる」とメリットを挙げる。
この国際パーク建設は州議現役時代の96年に15万レアル、99年に150万レアルの予算もつき、ブラジル日本移民百周年の時も実現のために動いた。ライフワークと言えそうな一大事業だが、一時は立ち消えになっていた。
しかし、下本氏と関係の深い文化団体やスポーツ団体に、構想について改めて話したところ「続けて欲しい」と背中をおされ、再び構想実現のために袖をまくった。
現在は出資元を探している段階。構想をジョアン・ドリア州知事に説明した際「出資元を明らかにするよう」と求められたためだという。「アラブ首長国連邦に足を運んで王族に説明し、米国のビル・ゲイツ財団へも出資を嘆願する手紙を送りました」と下本氏は近況を語る。
同プロジェクトには47県人会、日系の文化団体64団体、スポーツ28団体なども賛同する意思表明をしている。下本氏を含む35人からなる委員会も組織されており、日系団体役員や市議会議員も名を連ねている。