日本と言えばアニメ
私(モハマド)はアニメを通して日本の文化が好きです。私はシリアでアニメーションに関わる仕事をしていました。日本のアニメは世界一だと思います。
シリアには各国言語の学習機関があり、ダマスカスにも日本大使館が支援する日本語セクターがありました。私の友人でアニメ制作に関わっている人たちもそこで勉強していました。皆、あれほど素晴らしいアニメを生み出す日本へ旅行してみたいからです。でも、シリア人にはビザの取得がとても難しかったです。
私のチーフは2006年にアニメのプロデューサーとして日本から招待され、新海誠さんの会社で働いていました。新海さんは今や日本で宮崎駿監督に次ぐ2番目に有名なアニメ監督になりました。新海さんはとても面白い人でロマンチックだったと、チーフはいつも日本でのエピソードを話してくれました。
日本の国際交流基金がダマスカスでデジタルアニメーションワークショップを開いた時、私も新海さんにお目にかかりました。本当にとても優しくてロマンチックな人でした。
20キロやせた日本の食事とハードワーク
そのチーフは1年の日本での生活はとても気に入っていましたが、唯一、食べ物だけは口に合わなかったと言っていました。20キロ痩せてシリアに帰国してきました。また、チーフはよく働く人ですが、日本人のハードワークはシリア人の比ではないと言っていました。とにかく、日本人は仕事ばかりして、本来の決められた時間以上の仕事をすると驚いていました。
シリア人の30代が好きだった日本のアニメ
私(アブドゥル)が子どもの頃に好きだったのは『スークルァルアルディ(大地の鷹)』(横山光輝さんの『三国志』のアラビア語版)。主題歌も歌えますよ。他には『キャプテンつばさ』や『名探偵コナン』など。
姉妹が好きだったのは『ちびまる子ちゃん』でした。『ちびまる子ちゃん』のアットホームな家族団らんの風景をとても気に入っていました。日本人の家庭での教育、子どもへの教育にはとても興味があります。
日本に感謝!
ダマスカスの言語センターにはアラビア語を話せる日本人もいて、私(モハマド)はシリアで日本人と関わったことがあり、日本人が好きです。日本政府もシリアをとても助けてくれました。特に清掃事業の分野でクリーン車を無償で提供してくれました。トラクターも日本が寄贈してくれました。ダマスカスの排水をきれいにするプロジェクトも支援してくれました。日本政府はとても良いです。
ブラジルの日系コミュニティーとはこれまであまり縁がありません。ブラジル生まれの日系人は何人か知っていますが、顔立ちが日本人でもブラジル人だなと感じます。
休みたい日はやっぱりアラブ人限定
ブラジル人の友達も多くいてとても好きですが、週末は落ち着いて休みたくなります。そうしたら、自分の言語だけで話したくなる日もあります。その時はwhatsappのグループで、「今日はアラブ人だけで集まろう」と書いたりします。サンパウロで暮らす日本人もきっとそうですよね?
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シリア戦争が開始して10年が過ぎ、今もシリアに帰還できず、中東をはじめ世界各国で難民や移民として想像以上に困難な日々を送っている人々がいます。皮肉にも戦争がきっかけでサンパウロや日本でも以前よりは身近になったシリアの人々。
当企画『新来シリア移民が見たサンパウロ』が、一般に日本人からは未知なシリアへの扉を少しでも開くきっかけになれば幸いです。シリアに平和を、世界に平和を、サラマレイコン(あなた方の上に平安を)!
(大浦智子さん寄稿《終》)