独立行政法人国際協力機構ブラジル事務所(JICA、江口雅之所長)は新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、アマゾン地方の医療態勢拡充を目指すため、医療機材を含む支援を3月22日にアマゾナス州保健局、パラー州都ベレン市のアマゾナス病院へ24日に実施を決定した。
感染患者の治療に欠かせない人工呼吸器や医療ベッド、バイタルサインモニター、輸液ポンプ等の機材供与を昨年から順次行っている。さらに、過去にJICAの研修に参加した帰国研修員が日本で習得した知識等を普及する形で新型コロナウイルスへの対応や治療にも貢献していく。
同研修に参加した帰国研修員は同州保健局職員で17年10月25日~12月16日の2カ月間研修を受けた1人と、18年5月13日~6月15日の1カ月間研修を受けたアマゾニア病院医療従事者の2人。
それぞれが現在所属する組織に対し、日本で習得した「インフラ未整備地域における公衆衛生」や「院内感染予防からみた5S」の技術を伝えた。日本での研修知識や能力を普及するという試みは、活動を支援するフォローアップ協力の一環としても実施された。
本協力では、上記活動を更に普及・拡大させ、院内感染防止、及び一人でも多くの患者に医療サービスを提供できるよう態勢拡充を目指す。
ブラジル北部アマゾナス州では21年2月以降、変異型ウイルスの感染が拡大し、酸素ボンベや医療設備等が不足する医療崩壊の危機に陥っていた。
現在でも北部地域の公立医療機関における集中治療室(UTI)病床の占有率は依然と高水準の状況が続いている。
アマゾナス州に隣接するパラー州に位置するアマゾニア病院においてはUTIとセミUTI病床を拡張し、アマゾナス州から複数の重症感染患者を受け入れ、治療を施している状態だ。