20日にはマラニョン州に到着した船の乗組員がインドで確認された変異株に感染しており、濃厚接触者も100人いると公表され、21日にはペルナンブコ州保健局がインド株感染の疑いのある患者を観察中と発表。サンパウロ州でも同型株の感染状況の観察開始など、変異株の脅威も続いていると21日付現地サイトが報じた。
専門家がサンパウロ州での感染第3波発生を懸念し、外出規制緩和のぺースを落とすよう進言している事は20日付フォーリャ紙も報じた。全国的に見ても、新規感染者の平均が4月26日を境に増加に転じてから4週間が経ち、多くの州で病床占有率が高まっている上、18日からは死者の平均数も増加している。
オズワルド・クルス財団(Fiocruz)は20日に出した報告書で、第3波回避への最大の武器は予防接種としている。しかし現実には、ワクチンの絶対数不足と2度目の接種実施率の低さ、データ登録の遅れ、情報不足などによる予防接種計画の遅れは、感染第3波に関する最大の懸念材料だ。
高齢者の中の2度目の接種完了者は4カ月間で39%との数字は専門家の懸念材料で、アラゴアス連邦大学(UFAL)の研究者達は、20歳以上の成人への2度の接種完了は2023年になると見ている。60歳以上で2度目の接種完了者は39%との数字は、G1が保健省のデータ(OpendataSUS)から算出した。
保健省は20日に脳血管障害(AVC)経験者などの神経疾患を持つ人も優先接種の対象に加えると発表した。これにより、医療従事者や治安関係者、先住民、高齢者、慢性疾患患者などの優先接種対象者は7847万700人となった。60歳以上の高齢者はこの内の1170万人だ。
現時点では優先接種対象者の45%が初回接種を受けているが、2度目の接種完了者は20%しかいない。ブラジルではコロナバックで3~4週間、オックスフォード・ワクチンやファイザー製ワクチンなら10~13週を置いて2度目の接種を行うため、接種完了には時間がかかる。
また、パズエロ前保健相が2度目の接種用ワクチンも初回接種に使うよう指示し、ワクチン供給に混乱が生じた事や、ワクチン生産に不可欠な有効成分(IFA)の到着遅れによるワクチン不足、フェイクニュースなどで恐怖心やためらいが生じた人がいる事、当局からの情報不足、病気などで2度目の接種が遅れている人は19日現在で630万人いる。
★2021年5月4日《ブラジル》コロナ月間死者数大幅に記録更新=感染の再拡大に懸念強まる=Covaxのワクチン到着
★2021年4月27日《ブラジル》今年のコロナ死者が昨年1年分超える=感染共々増加ペースは鈍る=ワクチン開発費に拒否権?