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50年ぶりの祖国で〝浦島太郎〟(3)=サンパウロ市 広橋勝造=エスカレーターでも気まずい目線

 買い物を終えて、駅に行った。もう午後6時過ぎ、駅は帰宅時間で混雑していた。
 ブラジルでは公共交通機関はバスが多く、それか自家用車での移動が普通で、俺もそうだ。
 ところが、日本に来てから歩きっぱなしで足が吊ったように痛く、歩くのが辛かった。来日して直ぐ買った安くてカッコ良かった靴も、変に俺を痛めているようだ。
 俺とは対照的に日本の現代人は50年前と変わらず、足早で俺をどんどん抜いていく。
 うぁ~、前方に階段が迫ってきた。「あっ、エスカレーターが有った。良かった!」
 何とかエスカレーターに辿り着き、あ~良かった~。ところが、俺の後ろに長~い列ができた。
 なぜだろう、皆がじっと俺を見ている。「う~ん、何なんだ」と頭を捻った。ブラジルなら文句があれば誰かがいってくる。
 ここでも何か言ってくるだろうと、俺も皆を見つめ返して、挨拶(?)気味に少し頭を下げた。
 だが、それに応えて返ってきたのは、嫌な沈黙と冷たい目線だけだった。
 後で知ったのだが、俺が立っていたエスカレーターの側は、忙しく上る奴等の通る道だったそうだ。
 エスカレーターは自分が上らなくても上れる物なのに、日本人は何故エスカレーターをわざわざ急いで上るんだ?

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