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アジア系コミュニティの今(5)=東京五輪の国名呼称は栄光の瞬間!台湾編〈5〉

張崇哲在ブラジリア台北経済文化事務所代表(大使)

張崇哲在ブラジリア台北経済文化事務所代表(大使)

――昨年の李登輝元総統の死後、米国や中国の外交の動きが激しくなっている印象がありますが、彼の影響力はやはり大きかったのでしょうか? ブラジルとの関係はどうでしたか?
張氏-李登輝元総統は、ブラジルではあまり知名度がありませんでした。ブラジル人はアジアについて、あまりグローバルな見方をしていないと思います。ブラジルの新聞の記事を読むと、「アジアの国」という用語は通常「中国」のみを指します。中国が常に先行しているため、ブラジルはアジアの他の国をあまりよく見ていません。もちろん、日本はブラジルと別の歴史があり異なるのですが。
 左翼の思考がブラジルを支配し、今日に至るまで、ブラジルの外交政策は左派政党にもっと目を向けているようです。中国は、そのような事情と経済的能力を超えて、ブラジルで多くの影響力を持っています。中国は台湾を国際的に孤立させており、その圧力で、ブラジルと台湾の関係は非常に停滞しています。
――台湾からはブラジルにどのような企業が進出していますか?
張氏-半導体産業は台湾および世界で重要度を増しており、TSMC(台湾積体電路製造)の製品は市場でとても人気があります。米国、日本、ドイツからは、自国に工場を設立するよう求められています。自動車部品産業、繊維、新しいIOTテクノロジーを備えた機械、人工知能のメーカーもあります。
――ブラジルのデジタルライフへの台湾の貢献は?
張氏-Foxcom、ASUS、Acerなどの主要な電子機器およびコンピューターの企業が既に進出しています。しかし、台湾とブラジルの間の貿易額は年間30億米ドルに過ぎず、さらに成長の余地があります。
――台湾の大使として、日系人を含むブラジル人に台湾について何をPRしたいですか?
張氏-ブラジル市場には多くの可能性があり、台湾は世界の主要経済国の一つです。台湾は、ブラジル政府と協力して、ビジネスや観光の交流を促進するためにもっと努力できることを願っています。台湾は観光業にも力があり、年間1700万人の台湾人が世界を観光で訪れ、1100万人の観光客を受け入れています。日本には約400万人が訪れています。
――今回の東京オリンピックで台湾代表選手の活躍についてどう思いましたか? また、台湾代表は日本に対してどのような印象を持っていましたか?
張氏-国際的な政治問題により、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」という名前でしかゲームに参加できません。これは台湾の現実を反映していません。
 しかし、東京では、開会式で、日本の司会者が台湾の選手に「台湾」という名前を使用し、「チャイニーズ・タイペイ」とは言いませんでした。この友好的なジェスチャーは、台湾の人々の心をつかみました。
 ゲーム中、台湾の名称と国旗が日本のメディアでは常に表示されて、選手がメダルを獲得する・・・それは台湾の栄光の瞬間です。日本はパンデミックの中でオリンピック開催に挑戦し、いつものように困難を克服しました。私はブラジルの日本政府の関係者と日本人コミュニティにも大きな敬意を表します!(続く)

 

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