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サントス市=三線職人の父描く作品撮影へ=NPO団体が選出、制作支援へ

今まで100以上の三線を作ってきたというカメミツさん(提供写真)

今まで100以上の三線を作ってきたというカメミツさん(提供写真)

 サンパウロ州サントス市の非営利市民団体『インステュート・プロコモン』(NPO団体、IP=INSTITUTO PROCOMUM)が実施する芸術プロジェクト「第3回芸術とコミュニティの協働者(COLABORADORA ARTES E COMUNIDADES)」で、ロブソン・トウマさんのプロジェクトが選ばれ、92歳で三線職人の父カメミツさんのドキュメンタリー撮影が始動することになった。
 この芸術プロジェクトはバイシャダ・サンチス地域で活躍する芸術家やアートプロデューサーを毎年公募し、選出された人はプロジェクトを遂行するための資金や研修の支援を6カ月間受ける事ができるというもの。
 第3回目となる今年ははロブソンさん含む15人が選出された。ロブソンさんは音楽家やプロデューサーとしてサーカスやストリートシアターグループ等の楽曲提供などの経歴を持つ。
 ロブソンさんの父、カメミツさんはサンパウロ州リンス生まれで、現在はサンパウロ市に住む沖縄系二世だ。家庭では三線を爪弾く姿や、音に合わせて唄い踊る姿をよく見ていたという。とはいえ、カメミツさんが三線職人となったのはエンジニアの仕事をやめてからだという。
 カメミツさんは、沖縄県人会ジャバクワラ支部での講習を受けたほか、三線の製作、修理、メンテナンスを手がける本場の職人を見学するために母県へ2度訪問した。すでに100~150丁ほども手がけている。

カメミツさんが三線の制作をしている様子

カメミツさんが三線の制作をしている様子

 ロブソンさんによると「沖縄では三線職人でも80歳を超える人が多く、三線を大量生産する工場などもありません」と説明する。父の後を継ぎたいと思っており、三線製作の勉強も行っているという。
 同プロジェクトを実施するインステュート・プロコモンは、スペインのサラゴサ県にあるアートプロジェクト「LA COLABORADORA」から着想を得て2017年に立ち上げられた団体。
 様々な人が共存する中で、現代社会における深刻な社会問題解決策を生み出すことができる世界の構築を目指す。プロジェクトについては同団体サイト(https://www.procomum.org/)上や概要やユーチューブ(https://www.youtube.com/c/InstitutoProcomum)などでも公開されている。