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《ブラジル》殺人件数が昨年比で5%減少=北部、北東部では増加傾向も

テレビ放送のデータ(Twitter)

 今年の1月から9月にかけての殺人件数が、前年同期比で約5%減ったことが明らかになった。18日付現地サイトが報じている。
 今回のデータは、26州と連邦直轄区で行われた報告をG1サイトがまとめたものだ。
 それによると、今年最初の9カ月間の殺人件数は3万954件で、昨年同期より1517件減っている。これは前年比で4・7%の減少したことを意味する。この件数には、通常の殺人と強盗殺人、傷害致死が含まれている。
 件数が増えたのは全連邦自治体数の半数以下の10州で、大半は北部と北東部に集中している。中西部以南では南マット・グロッソ州が件数増加を記録したが、それ以外の州はすべて減少している。
 殺人件数が最も減ったのはアクレ州で、29・7%減少した。同州法務保安局長のパウロ・セーザル・アラウージョ大佐は、殺人件数が減少した理由として、「刑務所管理の厳格化」「国境や州境での犯罪防止のための人材、財政、ロジスティックの強化」「各治安機関の統合・結束」の三つをあげている。

 殺人件数が最も増えたのはアマゾナス州で、昨年同期比で38・6%の増加を記録している。同州保安局によると、同州での殺人件数の8割は麻薬密売組織の抗争に関連したものだという。アマゾナス州立大学のメッシ・エルメル・カストロ教授は、「暴力犯罪に対する対策が不十分だ」と見ている。
 アマゾナス州に続いて、殺人件数が増えたのは、ロライマ州(18・6%増)やアマパー州(17・8%)だ。この他にも、マラニョン州、パラー州、トカンチンス州で件数が増加している。
 サンパウロ総合大学の暴力研究室(NEV―USP)は、法定アマゾンで殺人件数が上昇傾向にあることに着目している。ブルーノ・パエス・マンソ研究員は、「法定アマゾンを監査する機関の監視機能の低下がこうした事態を招いている可能性がある」と見ている。
 また、月別に見ると、1月は昨年同月より多い3918件だったが、その後は7月の3110件まで、昨年同月を下回っていたのに、8月は3415件、9月も3347件で、昨年同月を上回っていることも注目されている。昨年の8、9月は目立った件数の上昇はなく、昨年中でも最も少ない、3209件と3214件だった。

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