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「前もって教えて欲しかった」=日毎叢書が日本の出版社に苦情

左がいのちのことば社版、右が日毎叢書版

左がいのちのことば社版、右が日毎叢書版

 「前もって一言教えておいて欲しかった」。聖市の日毎叢書企画出版の石田勉さんが25日、編集部にきて残念そうに肩を落とした。
 聞けば、同出版で石田さんが編集を手がけて今年2月に刊行した『ブラジル移民船上のキリスト』(寺尾貞亮(ていすけ)著)という本の内容が、若干の修整を加えられただけで東京の出版社「いのちのことば社」から9月に刊行されていたからだ。
 石田さんは同書刊行までに、1年がかりでフリガナや誤字脱字の修正、文章追加や削除などの編集作業で苦労し、50冊製本して納品、代金を受け取っていた。寺尾さんはそれを友人や関係者に配っていたという。
 石田さんは「うちで手間をかけて刊行された以上、他から出し直す場合は、一言あっても良かったのでは。日本で出版するとかまったく聞いていなかった。日本の出版社にも苦情のメールを出した」と首を捻る。
 寺尾さんに電話で事情を聞くと、「日毎には別に本にしてくれとは頼んでない。原稿の整理を頼んだだけで、その分のお金は払った。ブラジルで出たのは未完成で、本とは言えない。あれは〝証し集〟なので、日本できちんとキリスト教の勉強をした人が手を入れて出版しないと認められない」と主張し、それゆえに日毎出版に一言伝える必要性を感じなかったという。
 〝証し〟とは《日常生活の出来事とイエス様との出会いの体験を語るもの》のこと。寺尾さんはブラジル・アライアンス教団の伝道師をする牧師であり、宗教的な出版物の特殊性を強調した。
 だが、日毎叢書としては「『本にしてくれ』という依頼として受け取り作業をした」もの。事実、寺尾さんは「本として頼んでいない」といいながらも、製本されたものを、文句も言わずに受け取り友人や関係者に配っていた。
 石田さんがこの経緯を質問するメールを寺尾さんに送ると、16日付けで《実は、私(寺尾)も、おどろいております。たしかに、日本に於いて、拙い証し集が出来ております》と、まるで知らなかったかのような不思議な返信がきた。
 さらに《この証し本は世間でいう利益目的ではありません。もし利益目的であれば、石田様のご不満はご尤もであります。どうぞご理解下さるようにお願いいたします》と釈明した。
 石田さんは利益うんぬんで文句を言っているのではなく、「一言なかった」から気を悪くしているだけ。いわば礼儀の問題だ。中身は立派な宗教体験集だけに、こんなことでケチがつくのはもったいない話では?

 

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