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■ひとマチ点描■71年ぶりの再会

3月11日(金)

 「あんた、義治さんか!」。71年ぶりに顔を合わせた、旧友との再会に出た言葉はそれだけだった。「抱き合って・・・、感無量で。言葉が出なかったですよ」と、諌山誠さん(82、福岡県出身)はその場面を回想する。
 2月12日正午ごろ、北パラナのロンドリーナ市バスターミナルの駐車場でのことだった。お互いの顔も分らないだろうと、諌山さんが被る白い帽子を目印にした。
 諌山さんが、今年85歳になる桐田義治さん(山口県)と最後に会ったのは1934年のこと。当時12歳だった諌山さんは、家族と共にノロエステ線グアララペス駅から24キロぐらいにあったファゼンダ・ボン・ジェズスというイタリア人のカフェザルで働いていた。両親と男3人、女5人兄弟姉妹と共に、桐田家と親しく家族付き合いしていたという。
 そこで分かれ、以来60数年何の音信もなかった。ふとしたことから7~8年前からお互いの電話番号が分り、「いつか会おうよ」と話し合っていた。
 妹婿の49日法要に参加するためにノーバ・ロンドリーナに行くことになり、その途中ロンドリーナ市に住む桐田さんに会うことに。再会はわずか1時間だったが、鮮烈な印象を残した。「長生きはするものです」と諌山さんは静かにうなずいた。

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