短歌
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ニッケイ歌壇(504)=上妻博彦 選
ソロカバ 新島 新 為せば成る為さねば成らぬとは申せ一首なすにも苦心惨憺五キロほどペダル踏むにも息が切れ一首詠むにも青息吐息自腹切る訳ではないがこの長雨で野菜値上りするを心配
サンパウロ 坂上美代栄
札束を吐き出すパイプ写されし汚職まみれのペトロブラスよ
大物に小者絡まりあばかれしあちらこちらに火の粉が散れる
汚職の根掘れ
ソロカバ 新島 新 為せば成る為さねば成らぬとは申せ一首なすにも苦心惨憺五キロほどペダル踏むにも息が切れ一首詠むにも青息吐息自腹切る訳ではないがこの長雨で野菜値上りするを心配
サンパウロ 武田知子
家元ゆ新代表の派遣とて茶道の普及多岐にわたれば
伯栄庵せましとばかり参加せる和服はなやぐ絹ずれのして
お茶席に供する菓子も
アルトパラナ 白髭ちよ
幾日もの闘病生活空しくて友は一人黄泉への旅に
眠る如安らかな面(おも)の美しく並み居る人等に安堵与える
のうそん誌を繰り
サンパウロ 武田 知子
プリンスの赤い絨毯踏みしめ来、行啓ほぎて握手交はせり
すがすがしき微笑受けつつ握手せる紀子様の手の温みじんわり
広島の神楽公
バウルー 小坂 正光
渡伯時に生れし末弟を伴いて八十五年の廃耕地訪う
コーヒーの樹海で栄えしノロ線の末弟生れし廃耕地訪う
生れ出て人生一と幕老いの坂
サンパウロ 武田 知子
はるばると六百キロのバスの旅春泥の中弓場の土踏み
稚鴎師の百歳祝いにボーロ切る姿は凛々とまぶしかりけり
弓場の里稚鴎師迎え百
サンパウロ 梅崎 嘉明
電柱を巻きてサンジュオンの蔓は伸び天に向いて紅花をささぐ
ああ今日も平凡にして一日過ぐ昨日と同じ食事を並べ
先妻を亡くし再婚
サンパウロ 武地 志津
郷里より届きたる本「伊勢神宮」開けば爽快の気われを包みぬ
参道の砂利踏む音のさくさくと正に聞こゆるごとき写真に
幼時より思い
サント・アンドレー 宮城あきら
沖縄のゆくえ如何にか明日暗き辺野古の海に招かざる基地
全国土の六パーセントに過ぎさりしわが故郷に基地がひしめく
国防は