連載
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日本移民と感染症との戦い=世界最大の日本人無医村で(18)=知らされなかった防疫策
第7回で紹介した、鈴木南樹が笠戸丸以前の体験談を書いた『伯国日本移民の草分』(http://www.brasiliminbunko.com.br/Obras/143.pdf)には、実は次のような続き
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日本移民と感染症との戦い=世界最大の日本人無医村で(17)=「世界一の無医村に行かないか?」
前節のバストス移住地での防疫対策を担った同仁会の細江静男医師は、1901年に岐阜県下呂町和佐で生まれ、慶応大学医学部で学んだエリートだった。細江医師の慶応大学同期には、のちに日本医師会会長になった武
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日本移民と感染症との戦い=世界最大の日本人無医村で(16)=完璧な防疫対策施す移住地も
戦前としてはまれに見る先進的な防疫対策を施していた日本人移住地があった。バストスだ。 1929年頃から開拓がはじまったバストスだが、当時の開拓地は完全な無医村で、公的な地域衛生など皆無に等しく、自
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日本移民と感染症との戦い=世界最大の日本人無医村で(15)=結核の妻想い作ったヒット曲
戦前戦中、当時最大級の日本人集団地だったバストスから、感染症による悲話が生まれている。 終戦直後に起きた勝ち負け抗争の犠牲者の一人、脇山甚作退役陸軍大佐の息子一郎の妻・初野だ。彼女は大戦中に結核に
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日本移民と感染症との戦い=世界最大の日本人無医村で(14)=「在伯邦人の衛生戦線異状あり」
WHOの報告書によると、伝染病の代表格である「結核」は過去の病気ではない。今でも世界の10大死因の一つになっており、事実、2017年には世界全体で1千万人が罹患し、130万人が結核で死亡している。日
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日本移民と感染症との戦い=世界最大の日本人無医村で(13)=基礎体力を落とす「十二指腸虫病」
移住地で流行った感染症の中で、「十二指腸虫病」も深刻だった。これは、鉤虫を原因とする寄生虫病の一種で、かゆみを伴う皮膚炎の原因となる。寄生虫幼虫の刺激により咳・咽頭炎を起こし、重症になると、寄生虫の
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日本移民と感染症との戦い=世界最大の日本人無医村で(12)=見るも恐ろしい「森林梅毒」
戦前、日本移民の最大の敵はまさにマラリアや森林梅毒、十二指腸虫病、トラコーマ、黄熱病などの感染症だった。 中でもマラリアの次に、戦前の日本移民を悩ませたのが「リーシュマニア症」で、移民は「森林梅毒
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日本移民と感染症との戦い=世界最大の日本人無医村で(11)=何万匹の虫にたかられる生活
「信ちゃん」こと沼田信一さんは、1933年7月にありぞな丸で来伯し、サンパウロ州セッテ・バーラス植民地に入植、翌年5月にパラナ州ロンドリーナ市郊外に移転し、同市入植の草分けとして一貫して農業に携わっ
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日本移民と感染症との戦い=世界最大の日本人無医村で(10)=医療皆無の戦前日本人集団地
野口英世が米国に戻ってすぐ、同24年に「同仁会」という日本人医師会が組織された。日系医療・福祉団体の始まりだ。 それが中心になって全移民の悲願として日本病院(現サンタクルス病院)の建設計画が193
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日本移民と感染症との戦い=世界最大の日本人無医村で(9)=野口英世も黄熱病の研究に来伯
宮嶋はブラジル国内でも日本移民排斥の動きが始まっていると警告し、《北米の例にならって二三の衛生家は日本人には寄生虫がある。こういう人間は好ましくないという声を高めてきたのであります。それゆえに日本人