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「起業」協力積極的に―ブラジル日本商工会議所会頭 貞方賢彦

日系代表新世紀の抱負
 
 新世紀、二十一世紀元年を迎えるにあたり、本誌をお借りして皆様に新年のご挨拶を述べさせて頂くことを大変光栄に存じます。
 世界経済は、牽引車の役割を果たしていた米国経済が四年間にわたる長期経済成長の後、昨年の三月から下降局面に移り、軟着陸でなく、強制着陸を余儀なくするリスクが高まっております。
 日本経済もバブル崩壊後の長期不況から脱出する気配が見えていますが、今後の米国経済の動向が気遣われているところであります。
 わがブラジルは、九九年初頭の金融危機を高金利政策で乗り切ったことで、世界経済界から高い評価を得ております。
 ブラジル政府は、九一年から九九年まで連邦関係で大小併せて六十五の公社を民営化しました。過去十年間の連邦、州、市営企業、コンセッション譲渡による民営化、連邦の所有する株式売却等を含めると百二十四社、金額的には延べ八百九十七億ドルに達しております。昨年度は年末近くになり、パラナ州立銀行のバネスタード、それからサンパウロ州立銀行バネスパの民営化の成功が、記憶に新しいところでございます。両銀行併せて四十億ドルの収入でした。 公社を民営化することによって身軽になった政府は、新世紀において、米国経済が長期不況に陥っても企業界をして充分に耐えられるような経済政策を打ち出すことを期待し、かつ信じております。
 一方、日系企業界では、多くの会社が来るべき二十一世紀、グロバリゼーション経済にそなえて設備投資、あるいはリストラ等に努力されております。
 その半面、日本からの対ブラジルへの投資が少ないことが指摘されております。これにつきましては、先般サンパウロで行われ、ブラジル日本商工会議所も協力しました、ブラジル全国工業連盟(CNI)と経団連共催の「第九回日伯経済合同委員会」において充分検討され、ブラジルのインフラ関連(石油、エネルギー、電気通信)新サービス産業(データー通信、輸送システム)、農産物分野が有望である点が確認され、今後に期待できると考えます。
 コロニア社会と会議所の緊密化に関しましては、昨年度コーバス知事婦人が総裁を勤める慈善事業団体から慈善病院建設資金の要請を受け、日系社会が一丸となって、有志の方々から資金提供を受け、バンデイランテス宮にて晩餐会を開催して、多額の資金を日系社会から病院建設に寄付し、知事婦人から感謝されたことは記憶に新しいところであります。
 会議所内に起業家委員会を設けました。インキュベーター、あるいはベンチャービジネスといったところまでは行きませんが、できるだけ多くの日系地場企業の方々に参加していただきたいと考えます。現在、二十万人以上の日系人が日本で働いております。この大部分の人たちはブラジルへ戻って、商売をすることを切望しています。起業家委員会がこの人たちへの相談の窓口となることも検討しております。日系諸団体が互いに切磋琢磨し、情報交換につとめ、ひいては企業の経営に役立つことを趣旨と致しておりますことを報告して私の新年の挨拶とさせて頂きます。

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