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俳優・竹本孝之の連載エッセイ-第6回-学力低下の中で週5日制

2002年4月19日(金)

 今年の桜は、例年より一週間から十日開花が早かったそうだ。四月上旬の今、新緑の葉が光に眩しい。四月が新学期となる日本では、真新しい制服に身を包んだ新入生達の姿が見受けられる。未だ何処となくぎこちないその姿に、青さを感じてしまうのは私だけではない筈だ。
 今年度から日本の公立学校は、完全週五日制になる。これは文部科学省による学習指導要領の改訂に伴う改革である。「総合的な学習の時間」を新設し、「選択教科」が増え、「学校週五日制」が始まる。文部科学省が掲げる、学習指導要領の改訂に伴う狙いは、
 豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚の育成。
 自ら学び、自ら考える力の育成。
 ゆとりのある教育活動を展開する中で、基礎・基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育を充実させる。
 各学校が創意工夫を生かして、特色ある教育、特色ある学校作りを進める。
――となっている。子供達の学力低下が叫ばれている今の日本、週五日制に伴い、教える内容が従来の約三割削減という事で、さらに学力低下が進むのではないかといった危惧や、親との休日のズレなど不満も噴出している。
 しかし、ゆとりの教育を謳ったこの改革だが、本当にこれで大丈夫なのだろうか。実際のところ、私立学校は土曜日も授業をすることを確保し、公立学校との授業時間の差をアピールし、学習塾は土曜日のクラスを増やしている。やや減りつつあるといえども、まだ色濃く残る日本の学歴重視社会では、授業時間を減らしたところで、別の場所に流れていくだけではないだろうか。本当の意味での「ゆとり」とは何なのか、今一度考えてみる必要がある気がする。
(筆者はNHKドラマ『中学生日記』に教師役で出演中)

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