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日本の乗り遅れに懸念―池田大使が発言―「ブラジルは花形選手」と位置づけー商議所新年会で講演

1月11日(土)

 池田維(ただし)ブラジル大使が十日、サンパウロ市内のホテルで開かれた商議所新年会で『最近の日伯関係』と題して講演した。ルーラ大統領の就任式に出席した時の様子を活写しつつ、ブラジル国民の期待の大きさを説明。ブラジルを「世界の主要なプレーヤー」と位置づけた。日伯関係については、米州自由貿易圏(FTAA)の〇五年締結を視野に入れつつ、「日本の乗り遅れ」に懸念を示した。

 新年の乾杯の後、一日付でブラジル日本商工会議所の新会頭となった田中信会頭が、新年あいさつした。その中で「チャレンジする会議所」、「役に立つ会議所」が昨年末の忘年会同様に強調された。
 池田大使は、ルーラ大統領の就任式はPTの演出があったにしても、サッカーのワールドカップで優勝したブラジル代表を迎えるような盛り上がりを見せたと話した。ブラジル国民の期待がいかに高いか、物語っているとした。ルーラ大統領は広場では原稿なしで演説、「一日三食食べていない人間がたくさんいる。私が大統領を辞めるとき全国民が三食食べていれば、私の役割を果たしたことになる」と訴え、本音で話していると受け取れた。
 ルーラ大統領の側近で日系人の具志堅ルイス氏とは何度も会った。「新政権はマクロ政策は変えない」と明言していた。対外政策も基本的には継続されるものとみる。ルーラ大統領は就任前にアルゼンチン、チリ、アメリカ、メキシコを訪問している。ブッシュ大統領と波長がよく合ったのは、二人ともインテリーではないからだと言うブラジル人もいる。
 日本は早期に新政権との信頼関係を構築、深める必要がある。『飢餓撲滅』をモットーに挙げており、日本としてどう協力の余地があるのか考える必要がある。周知の通り日本は政府開発援助(ODA)拠出額では最大の国。貧困政策も考慮に入れる必要があろう。人的な交流レベルを上げて、ルーラ大統領の訪日も必要と考える。外務省はブラジルを「世界の主要プレーヤー」と位置づけている。
 FTAA交渉は二〇〇五年の締結をめどに進められ、停止することはない。アメリカ、ヨーロッパの動向を見ているばかりでは、日本は置いていかれる。米州に大きな関心を持っていると示す必要がある。
 最後に出稼ぎ問題について触れたい。二十六万人のブラジル人が働いている。これはブラジルへの日本移民の数と同じで、歴史が逆転しているといえる。教育、社会保障の問題が大きい。これについては、帰国する名取力ブラジル東洋紡社長から「日本でネットワークを作り、ボランティアで地域レベルで取り組んでみたい」と提案があり。大使は「ぜひお願いします」と賛同の意を示していた。

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