ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 前立腺ガンの摘出手術を受けられた天皇陛下の経過は順調なご様子らしくもうお粥を食べれるようになられたのは真に喜ばしい。メスを取られた垣添忠生・国立がんセンター総長や金沢一郎皇室医務主管などの会見によると「手術は大成功」であったそうだし、転移も見られなかったのは幸いと申すほかはない▼昭和天皇も手術を受けられたけれども、一昔前なら考えられないことであった。天皇は科学者でもあり医師の診断や手術の話をも冷静にお聞きになられたという。皇后さまと紀宮さまも東大病院にお泊まりになって看護のお手伝いをなされたそうだが、これもまた微笑ましくも嬉しい話である。何よりも喜ばしいのは、皇后さまも普通の家庭の主婦と同じようにご主人の看病ができるようになったことであり、この一件は皇室の「快挙」と呼んでいいのではないか▼それにしても皇室も見事なまでに変わった。昭和天皇には玉音放送や人間宣言などがあり民主化への道を歩まれたけれども、今上陛下はさらに二歩も三歩も先を進んでおられる。皇后さまの「快挙」をお許しになられたのも、その一つであろう。皇室には長い伝統があり古くからの習慣や仕来りも多い▼が、一歩づつながら新しい皇室が生まれ国民にも親しまれているのは喜ばしい。天皇陛下は「余り大騒ぎしないように」と気配りなされたらしいが、国民の誰しもが心配し一日も速い回復を祈った。幸い手術は大成功であったし、後一ヵ月もすればあの元気なお姿を拝見できるものと信じ期待したい。  (遯)

02/8/20

image_print