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コラム 樹海

 冬眠の季節が去り明るい希望の春を迎えようとしている――。文協(ブラジル日本文化協会)こんにちの偽りない姿をそこに見る。半世紀前に日系コロニアの中心機関として発足した文協だが、昨今なぜか虚脱ムードの中で自らの〃立場〃を喪失させていった▼いっそのこと潰してしまえ――の強硬意見がなかったわけではない。が、文協は大事な機関であり、創立時の原点に戻って〃蘇生〃させるべき――の声が大半を占めた。そこで今回の文協改革委員会による改革案(先週本紙7面に三回に分けて掲載)の提出となった。まず、文協の基本をなす日系コミュニティーの時代に即した意義と存在価値を冷静に説いている。幅広い視野をもって活動目標を的確に定め、真剣に取り組もうとする意欲が伝わってくる▼時宜にかなった《役割》の一つに注目したい。それはコロニアが直面している出稼ぎ子弟の教育や家族(在日、在伯)をも含めて派生する諸問題に真っ正面から当っていく必要性を強調している点だ。これまで文協はじめ多くの団体は出稼ぎ問題を見て見ないふりをしてきたが、今後それは通るまい▼家族、親戚、隣近所で出稼ぎ者のいる実態にふれるとき、あらゆる気配り、対策が要求されよう。文協はその役割を重々果たさないわけにはいかない。日系コミュニティーの避けて通れない問題の先取り策が、将来プラスとなって跳ね返ってくるのが楽しみだ。新理念のもとに蘇る〃強い文協〃の出現が待たれる。          (田)

03/01/29

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