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デカセギ・シンポ開催へ=共生のあり方探る=日伯有識者が幅広く検討=外務省中南米局が企画

2月6日(木)

 定住化傾向を見せるデカセギを取り巻く環境を考えようと外務省は十八日、東京都内で「在日ブラジル人に係わる諸問題に関するシンポジウム」を開催する。就労や社会保障、教育など日系ブラジル人労働者が直面する問題について、日伯両国の有識者が現状報告や講演などを幅広い視野から検討。国内の外国人としては三番目の規模を持つデカセギについての理解を深め、よりよい共生のあり方を探る。
 一九九〇年の入管法改正を受け急増した日系ブラジル人労働者は韓国・朝鮮、中国に次ぐ二十七万人に上る。当初、日本国籍を持つ一、二世が中心だったデカセギが、ここ数年ブラジル経済の悪化などを受け、ブラジル国籍を持つ二、三世も増加。社会保険の不備や子どもの教育問題、地域コミュニティーとの摩擦など数多くの社会問題が表面化している。
 両国政府レベルでの関心も高いデカセギ労働者問題では、二〇〇一年に静岡県浜松市で開かれた外国人集住会議で、「浜松宣言」が採択。昨年はブラジル国内のシンポジウムでも「サンパウロ・ロンドリーナ宣言」がまとまるなど、官民の枠を越えた問題であることから、外務省中南米局が企画した。同日午前十時半から、新宿区の日本労働研究機構「JILホール」が会場となる。
 今回のシンポジウムでは昨年の「デカセギシンポ」でパネリストとして来伯した手塚和彰千葉大教授が、座長を務める。
 第一部の冒頭では、日伯両国の関係とデカセギ労働者をテーマに、植木茂彬・元鉱山動力大臣が基調講演。また、二宮正人・サンパウロ大教授は、ブラジルから見たデカセギの動向を解説する。
 第二部の在日ブラジル人の就労と社会保険では、渡部和夫・サンパウロ大教授がコメンテーターとして参加。二宮、渡部両教授は「子弟教育」を扱うセッションでもコメントする。
 今回のシンポが開かれることを受け、サンパウロ総領事館の赤阪清隆総領事は「日伯両国内で外務省がデカセギをサポートする必要がある」と指摘。同総領事館では、ビザ受け取りで来館したブラジル人が渡日する前に、教育や日本語についての諸問題をオリエンテーションすることも検討しているという。

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