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コラム 樹海


 忌むべきイラク戦争。そのさ中、早くも米英両国首脳が戦後処理について会談し、国連は人道、復興支援の検討に入っている。国連内では米英同盟軍の武力攻撃をよしとしない国ぐにも少なくない。統治主導権の問題や負担金などめぐり揉める気配濃厚だ▼国連は《国際社会の安全と平和を維持する》権威ある集団と信じてきた向きには裏切られた思いだろう。結局はこの程度の〃力〃しかなかったのである。そんな折りも折りロシアのイワノフ外相が自国の外交・国防政策評議会の総会で「日本などの国連安保理入りを提唱した」(三月二十四日・時事)現在の五か国から常任理事国を十か国体制に拡大するというもの。具体的に日本、ドイツ、インドの名をあげたのは初めて▼亀裂状態にある安保理組織の修復を早々と発言するあたりロシア外交のしたたかさを覚える。莫大な負担金を割り当てられた上に安保理入りさえかなわなかった日本にとり悪い話ではない。これが議題に上がったとき、どの国が賛成するか、はたまた反対を唱えるか腰を据えて見極めたい。第二次世界大戦の先勝国、米・英・仏・露・中国の「拒否権」が半世紀以上を過ぎてなお、まかり通る国連安保理の仕組みは異様に写る。少なくとも日本にとって愉快なもではない▼平和憲法を持つ今日の日本をいつまでも〃旧敵国〃視するのは間違いだ。それに気づいての「ロシア提案」としたら歓迎したい。今はただ一刻も早いイラク戦争終結を祈るのみ。 (田)

03/04/02

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