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現代美術館四十周年展=二十世紀美術の系譜=日系作家の様々な貢献

4月10日(木)

 マタラッゾ財閥の一人チチロ・マタラッゾがそのコレクションをサンパウロ大学に寄贈したことに始まった、サンパウロ現代美術館(MAC)が八日に創設四十年を迎えた。
 その軌跡を振り返る展覧会「現代の共有領域」が同日からスタート。ピカソ、モジリアーニといった画家の作品から、マイケル・ジョーダン、アーノルド・シュワルツェネッガーら著名人が収集する「売れっ子」ブラジル人画家ロメロ・ブリットのポップアートまで、寄せ鍋的だが少なくとも二十世紀美術の系譜は辿ることが出来た。
 日本人作家では浜口陽三、遠藤享(すすむ)のプリント作品にまず出会う。浜口のメゾチントはサンパウロ・ビエンナーレの受賞作だ。近藤敏、福島近といったブラジルで、その才を開いた日本人画家の代表作も並んだ。近藤の「寓話」(一九六五)はベニア板に描かれている。
 久しぶりの対面に、近藤は「移住してまもなくお金に困りキャンバスを買えなかった時代を物語っていて懐かしいね」。同作はシュールレアリズムの国際的グループ展「ファゼス」に選ばれた一品でもある。
 MACはほかに間部学、大竹富江、楠野友繁の作品も収蔵するが今回は省かれた。「所有する八千五百の傑作の中から、この展覧会のために二百作品を選出するのは大変に骨を折る作業だった」とはエウザ・アイゼンベルグ館長の弁解だ。
 当日はまた、TV・USPが制作した「MAC四十年」のドキュメンタリー・ビデオが上映され、そこに創設当時の思い出を語る楠野の姿もあった。修復・搬入・展示……近藤とともに、よちよち歩きのMACを土台から支えた一人だ。戦後移民の意外な貢献を発見した。
 六月八日まで。サンパウロ大学構内、レイトリア通り。入場無料。

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