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 バグダットが陥落。フセイン大統領ら政権指導部は消息不明。首都は市民による略奪騒ぎが頻発し無人と化した政府施設に乱入。椅子や器物を持ち逃げする群衆の群れは後を絶たない。国家権力を象徴したフセイン像が次々と引き倒される度に市民らは歓声を上げ喜悦する。開戦から二十一日目の九日。イラクは無政府状態に陥り、フセイン専制政権は完全に崩壊した▼イラクは石油資源に恵まれメソポタミヤ平原が生み出す小麦などの穀物豊かな国だし世界の歴史を創り出した富裕な地帯でもある。が、現在の国内事情は必ずしも安定したものではない。宗教的にはイスラムながらフセイン氏らはスンニー派であり、国民の多数(六〇%以上)はシーア派と二分され、政策の上でも差別が存在する。トルコと同じようにクルド人の問題も抱えており複雑な様相を呈しているのが現状と言っていい▼市民らの暴徒化を非難する向きもいるようだけれども、これは長い年月に亙った被差別に対する市民らの鬱憤晴らしと見たい。現地からの報道によれば、略奪してきたものを家へ持ち帰った子らを親が叱りモスクに納めに行く人々が多いそうだし、それほど心配することもなさそうだ。とは言っても、一抹の不安は残る。フセイン氏らの生死が不明なことだ▼英国のM16は生存説。米国のCIAは死亡説と対立しているのも気になる。このためかブッシュ大統領も「勝利宣言」はしてないし、イラクからも「敗北宣言」はない。が、もし─フセイン氏が健在としても、政権復帰はあり得ないのだけは確実だ。 (遯)

03/04/12

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