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勲一等勲章を展示へ=日本移民史料館=新映像スペース開設

4月15日(火)

 ブラジル日本移民史料館は十四日午後八時から九階展示室で、新スペース「サーラ・カワサキ・スチール」の開所式を行った。当日は合わせて、植木茂彬・元鉱山動力大臣から、日系社会唯一の勲一等旭日章(一九七六年九月受章)が貸与され、新しい目玉展示がいっきに二つも増えた。
 岩崎文協会長、二宮正人運営委員長らと共に記念プレートの除幕をしたJFEスチール・ド・ブラジルの山本哲男社長は「日本移民にゆかりの深いリベルダーデに、川崎スチールの名が残ることは嬉しい」と述べた。川崎製鉄は昨年九月に日本鋼管との合併を発表し、今年四月から一斉にJFE名に変わった。
 川崎スチール社は七三年に進出して以来、ツバロン製鉄、ノーヴァ・エラ・シリコン、ミナス・ダ・セーラ・ジェラルなどの重要な合弁事業に参画し、両国の発展に大きく貢献してきた歴史がある。
 昨年十一月二十二日に川崎製鉄ブラジル事業所関係者百八十人から約三万ドルの寄付があり、それをもとに史料館は新映像スペースを完成させた。二十人分の座席と、大画面(二メートル×一・五メートル)、ソニー製マルチ・プロジェクターなどを備えている。
 続いて、植木元大臣が勲一等勲章貸与の挨拶に立ち「一カ月前の日本でのデカセギ・シンポジウムで、二宮君に貸してもらえないかといわれ、その時は断わった。いろいろな国から勲章はもらったが、なんといっても天皇陛下から直々にいただいた旭日章と瑞宝章は特別だ。だが、いろいろ考えた末、貸与することにした」と苦悩の決断だったことを明らかにした。勲一等は日系社会には唯一無二。これまで史料館展示物の中では故・宮坂国人さんの勲二等が最高だった。
 さらに、史料館運営委員長として九一年から十二年間近く関わってきた二宮さんに、職員を代表して中山副館長からお礼の言葉と記念品が送られた。二宮さんは「目を閉じると色々なシーンが浮かんでくる。運営委員長として過ごす最後の日に、このサーラ・カワサキ・スチールが開所できたことは、非常に嬉しいことです」と語り、職員諸氏にねぎらいの言葉をかけた。

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