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廃鶏から干し肉製造=ロンドリーナ州立大学=日系教授の指導で開発

5月9日(金)

 廃鶏の干し肉は絶品?―。ロンドリーナ州立大学でシモコマキ・マサミ教授(食品技術学)の指導を受けていた二十六歳の学生がこのたびその修士論文で、鶏を塩漬け乾燥肉にする処理方法を発表した。経費もキロ当たり一・三レアルと手頃で、産卵率の下がった鶏の有効利用に長らく頭を痛めていた業者には朗報といえそうだ。
 通常鶏は飼育されて七十五週から八十週で産卵のペースが落ち、いわゆる廃鶏になる。ブラジル国内では昨年だけで約六十八億羽が廃棄という『悲しい結末』を迎えていた。そんなところに、乾燥肉という『第二の人生』が用意されたことになる。
 「生産者だけでなく、消費者にとってもいい話。鶏の干し肉はタンパク質が豊富なうえに、肉質も柔らかい。市場価格も低く押さえることができる」とシモコマキ教授は教え子の研究成果に太鼓判を押す。
 発表された処理方法はいたって簡単。良質な部分の鶏肉一キロにつき三キロの食塩の割合で塩漬けする。四日間、二十五度で乾燥させ、亜硝酸ナトリウムを入れた真空パックで保存することが大切という。
 研究は海外の業界関係者からも注目されている。世界最大の養鶏業者を抱えるアメリカでは業界紙にいち早く取り上げられ、ロンドリーナ州立大学には技術移転の話も来ている。

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