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コラム 樹海


 ペルーは日本人移民を早くから受け入れた国であり、故・宮坂国人氏が大学を卒業して移民事業会社に就職し赴任したところでもある。幕末には支那からの移民を乗せたペルーの船が横浜で問題となったこともあるが、日本人にとって親しみが増したのは日系二世のフジモリ氏が大統領になってからと見ていい▼人気も高かったし経済の立て直しにも力を振るった。今はトレド大統領に「殺人罪」などで追われる立場だけれども、フジモリ追及はどうやら政争の臭いがしないでもない。ペルーという国はインジオと白人の混血が圧倒的に多いのだが、不思議なことに政治支配は白人支配が長く続く。フジモリ氏の勝利もだが、トレド大統領が選挙で勝ったのも民族派としての訴え売り込みが成功したためだった▼だがー「人気」というものは儚い。日本大使館の占拠事件を解決するために軍隊を出動させゲリラを何人も殺害したのは許せないとフジモリ追及に乗り出したときのトレド人気は高い。けれども、結局は長続きはしない。ペルーの国立大学の社会研究所がこのほど実施した世論調査によると、国民の支持率は十一・七%しかない。一方、不支持率の方を見ると八三・九%に達する▼教職員ストもあるし、政治的な危機感も高かまるしでとても安定した国とは申し難い。政治は「生き物」であるし、日本に滞在するフジモリ氏の「復帰」宣言を夢の夢とばかり笑ってはいられない。「政変の多い国」が南米だし、復帰政権は珍しくはないのだからー。  (遯)

03/06/10

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