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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年3月5日付け

 サンバのリズムに乗った軽やかな乙女のステップは美しい。ヨーロッパで春を迎える嬉しさから誕生したカーニバルは、ブラジルなどの南米でも大いに賑わい、リオの祭典は今や世界の名物になりアメリカからの観光客もすこぶる多い。この20年ばかりはサンボドロモなるものが造られ観光化が顕著ながらサルバドールは、伝統的な庶民派であり、こちらを好むフアンもいっぱい▲と、喧騒と乱痴気騒ぎに浮かれているのは、眞に結構ながらチュニジアの「ジャスミン革命」に端を発した市民の怒りは留まる処をしらず広がっている。我が日本の政治もまったくもって危うい。民主党・菅首相は、リビアの最高指導者と同じく「退陣を拒否」しているが、周囲を取り巻く状況は厳しい。カダフィ大佐は、自身が大尉のときにクーデターを起こし実権を握り、それから41年もの独裁だし、これでは市民らの憤怒に火がつくのが当たり前なのは言うまでもない▲あの国は石油天国で豊かなのだが、騒乱を逃れるように既に8万人超が国外へ去り、カダフィ派の傭兵部隊による空爆や機銃掃射で7000人が死亡。すでに内乱の域に入っている。NATOも非難し、アメリカは揚陸艦を派遣している。それでもカダフィは「国民は私の為に死ぬ」と絶叫し、オバマ大統領までが「退陣要求」と事は緊迫し、政権の崩壊も近いと見たい▲日本の政治も滅茶苦茶である。民主の反主流16名は、予算案の採決を欠席。衆議1人が離党。渡邊恒三最高顧問までが、菅退陣論を公言し、菅内閣は今や完全な死に体であり、解散か総辞職の選択しかないのではないか。(遯)

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