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文化色深めた日本祭りー過去最高35万人が来場

7月29日(火)

 イビラプエラ区に東洋人街がやって来た――。日本各地の郷土芸能や郷土食を集めたフェスチバル・ド・ジャポン(日本祭り)が二十五日から二十七日まで、サンパウロ州議会駐車場を会場に開かれた。主催したブラジル日本都道府県人会連合会によると、過去最高を記録した昨年を上回る約三十五万人が来場。日本文化の奥深さを紹介すると共に、改めて日系社会の存在感をアピールしていた。
 初日の二十五日夕方に実施されたセレモニーで、県連の中沢宏一会長は六回目を迎え、名実ともに日系最大のイベントに成長した祭りについて関係者の努力に感謝した。「今年はサンパウロ領事館の協力なども得て、文化的色合いを強めた」と中沢会長が挨拶したように、ブラジル社会に対して日本文化を広めるのが、祭りの目的となった。
 日本各地で受け継がれている様々な郷土料理は、祭りの目玉の一つとあって、各県人会が出店するブースは大勢の家族連れらでにぎわった。各県人会の婦人部や青年部が材料の調達や、調理法に工夫を凝らした「お国自慢」の味は、日本を知る一世はもちろん、ブラジル生まれの二世、三世そして非日系も魅了した。
 最終日の二十七日には、北海道協会のイカ焼きや秋田県人会のきりたんぽなどが早々に売り切れるなど好評だった。特に秋田県人会が用意した「なまはげ」は、大勢の非日系が記念撮影したがるなど大好評。「ナマハゲの風貌が気に入った。食だけでなく、日本の風習にも触れることができて楽しい」と非日系の主婦ダニエラさん(四七)は祭りの魅力を語った。
 会場入り口に鳥居がたち、数多くの鯉幟が空を泳いだように、日本文化の紹介も大きな目的とあって、郷土芸能を披露する舞台や、各ブースにも注目が集まった。
 舞台があるテント内は、昔懐かしい郷土芸能や、コロニア芸能を楽しみにするお年寄りから子供まで様々な人で埋め尽くされた。日本から特別参加した演歌歌手の井上祐見さんは二十六、二十七の両日ともにステージに登場。迫力のある歌声を響かせた。年配の一世にもなじみ深い武田節や佐渡おけさ、傘踊りなども好評だった。
 日本文化の紹介をテーマに初めてブースを出したサンパウロ総領事館(赤阪清隆総領事)では、本物の鯉幟や雛人形に加え、こけしやダルマ、竹とんぼなどの郷土玩具を地域別に分けて展示。一世と見られる年配の日系人は、昔懐かしいおもちゃに見入っていた。
 また、近年非日系にも注目を集めている生け花や茶道、書道などのブースも終日大勢の人を集めていた。
 海外から初参加となるパラグアイのイグアスー移住地とブラジル農協婦人部連合会などが実施した大豆普及のキャンペーンでは、大豆サラダなどの作り方を非日系の来場者に説明し、大豆の効用などをアピール。「大豆の小径」と名付けられたブースは注目を集めていた。
 規模と内容共に昨年を上回る成功を収めたことに、中沢会長は「まだまだ足りないところもあるが、皆様のお陰で成功に終わった」と話していた。

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