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過熱するエタノール対日輸出待望論=新書たずさえ参議来伯

8月30日(土)

 今月二十八日からエタノールを混合した自動車用ガソリンの販売が日本で認められたことを受け、サトウキビを原料とするエタノールの大手生産国であるブラジル関係者の間で対日貿易への期待感が広がっている。
 日本側も参議院議員二人が二十五日に来伯、生産工場を視察後ブラジリアに親書を携え訪問するなど水面下で積極的な動きを見せる。
 将来的にはCO2削減の観点から現在の「混合率三%以下」を同十%まで引き上げることも検討されており、エタノール貿易を通した日伯間の接近が今後予想されそうだ。
 しかし、ブラジル駐在外務省、経済産業省関係者の間には、「実用化は先の話になるはず」「コストを考えればアジアから輸入する方が現実的」といった慎重論が優勢で先行きはまだ不透明な状況にある。
 二十九日付エスタード紙は産業開発省のマルシオ・フォルチス高官らの発言として「日本は当座、五億リットルのエタノールを輸入する用意がある」などと掲載した。(混合率三%の)テスト期間に日本は年間十八億リットルを輸入するとしたうえで、「もしそれが八%となれば五十億リットルと試算できる」との見方を示すなど、対日貿易に期待感を含む内容に終始した。
 記事は続けて、来年までにブラジル国内で生産される予定のエタノールは十四億リットルだが、対日輸出向けに生産を二倍に増加する準備が政府にはあると言及。
 そのためには「農地、収納施設、輸送販路の整備への投資が不可欠」とし、日本の国際協力銀行(JBIC)代表とロベルト・ロドリゲス農業大臣がすでに六月に話し合いを終え、交渉は現在も継続中であると明かしている。
 こうした動きの中で、二十五日、日本から循環型社会推進議員連盟の代表二人(写真)がエタノール生産事情の調査に来伯。二十九日にはブラジル政府関係者に親書を手渡した。親書にはエタノールの利用拡大を告げる内容などが含まれている模様だ。
 エタノール貿易待望論が過熱する一方で、「三%という枠が決まっただけでまだ輸入の見通しなどは立っていないはず」(ブラジル駐在経済産業省関係者)、「石油や自動車の既存業界の壁もあり実現は難航すると思う」(同外務省関係者)とする見方があるのも事実だ。

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