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老ク連、強行日程の旅―パラグアイの同士を祝いに(上)=平均年齢70歳以上34人―瀑布の遊歩道を全員完歩

9月5日(金)

  老人クラブ連合会(重岡康人会長)は、八月二十二日から二十六日までの日程で、二泊五日のバスツアーを行った。「パラグアイ日系老人クラブ連合会創立二十周年記念式典」参加が主たる目的。イグアスー、アスンシオンを車中二泊で回る強行日程にもかかわらず、サンパウロ州各地から三十四人が参加した。あらためて、日系高齢者たちの健在ぶりを感じさせる旅となった。

 サンパウロ市からカステロ・ブランコを経由して、南西へ、大平原を走ると遠くにビル群が見えはじめた。人口二十三万人が暮らす国境の街、フォース・ド・イグアスー市。アルゼンチン、パラグアイ(以下パ国)、ブラジルの三つの国境が隣接する街だ。
 国境越えを午後に控え、一行は午前八時にイタイプー発電所へ向かう。「建設中は、三十二万人が働き、一日米だけで五トンが炊かれた」とガイドのシドニーさん。同ダムは世界最大の発電量で、現在建設中の中国の三峡ダムを上回る。
 バスを下りて、発電所を見下ろす。縦が百八十五メートル(六十五階建てのビルに相当)、横が八キロメートル続くコンクリートの壁が見るものを圧倒した。「ダムがつぶれたら、アルゼンチンの一部が水の底になる」と言う、ガイドの説明もうなずける。
 イタイプーとは、原住民の言葉で「鳴る石」の意味。乾期のため放水の轟音を聞くことなく、その場を後にした。
 バスに乗った参加者の一人大内マリ子さん(アルジャ親和会)は、ルーラ大統領の演説のように「これだけのダムが作れるブラジルはもう発展途上国ではないのでは」とダムを眺め語った。
 ルーズベルト元米大統領夫人はイグアスーの滝を見て一言。「かわいそうな私のナイアガラの滝よ」と嘆いたとか。滝は規模、水量ともに世界最大。
 ゆったりとして歩を進める一行の目前に、四方を滝に囲まれた「悪魔の喉笛」が口を開けて待ち構えていた。水飛沫を浴びながら進み、圧倒的な自然の圧力を五感で感じる。参加者たちは、印象を残そうとシャッターを切りつづける。
 今回、滝は二度目の国井武さん(サンパウロ中央老荘会)は「流量が多いときには、泥水になって合羽が無ければここまで来れない」と、少し残念そうな様子で橋の下を見ていた。
 一時間半、同滝遊歩道の坂道をものともせず、全員が歩きとおす。旺盛な食欲を見せた平均年齢七十歳以上の一行。バスに乗り込み、パ国との国境に向かった。
 十五時、バスはパラナ川にかかる国境の橋、「友情の橋」手前で停車した。パスポートを持って出国手続きを進めたが、ブラジル国のパスポートを持つものは素通り。一方、日本国のパスポートを持つ人たちの手続きが遅々として進まない。ツアーガイドを勤めた、花岡エウニッセさん(サクラツール)は「ポリシアが、ビザが無いと文句をつけてきた」と説明。ブラジルで永住権を持つ彼らに、ビザは当然無いのだが、その事が分からなかった様子。気難しそうな顔をしたブラジル警察官に三十分近くかけて審査され、国境を越えた。
 アスンシオン市に向かう途中、車内で配られた郷土料理チパ、パ国最初の食べ物として楽しんだ。チパ―はマンジョーカを粉にして、チーズを加え、ベーグルのように成型して焼いたもの。上原玲子さん(老ク連事務局長)は、「ポン・ジ・ケージョに味がすこし似ている」と、評した。
 一行のバスは、午後三時(パ国時間)にアスンシオンに向かった。今村喜三人さん(パルケ・コンチネンタル寿会)は「パ国は、ブラジルに比べると貧しく、現地の住民はおとなしいように感じる」と感想を語った。
 市内のチャコホテルに到着後、長旅の疲れを見せず、パ国の肉を食べる。食事後、明日の式典に向けて就寝した。(つづく)

■老ク連、強行日程の旅―パラグアイの同士を祝いに(上)=平均年齢70歳以上34人―瀑布の遊歩道を全員完歩

■老ク連、強行日程の旅―パラグアイの同士を祝いに(下)=錆びた乗用車が走るー国会議事堂の裏手にファベラ

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