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太鼓づくり指導―高橋さん70歳越えボランティアでー最近の和太鼓ブームが追い風―体力の衰えより使命感が勝る

9月9日(火)

 「太鼓づくりを指導致します」ーー。ブラジルで数少ない和太鼓制作者の一人、高橋万右エ門さん(七三、岩手県出身)=サンパウロ市在住=が後継者育成に乗り出した。七十歳を越え、肉体労働への限界を感じ、引退を覚悟していた。その前に、ボランティアでもう一仕事をしようと〃裏方〃が決意した。最近の和太鼓ブームが追い風になりそうだ。
 岩手県人会の創立四十五周年記念式典が七月末に開かれ、県人会役員を長年務めた人が功労者として表彰を受けた。高橋さんは伝統芸能の普及に貢献したと特別に、功労者に選ばれた。
 「思わぬ喜びをもらって、最高の思い出になった」と話す高橋さんだが、このまま、太鼓の製作から退くには気が引けた。
 使命感と体力の間で板挟みになっていたおり、瑞穂文化協会(サンベルナルド・ド・カンポ市、井上ロベルト会長)から、長胴太鼓の修理依頼が舞い込んだ。
 両面の革が破れるなどして痛み、革を張り替えるのが主な仕事だ。指導するから作業をしてみないかと持ちかけたところ、文協側も快諾した。
 中尾アルツール副会長、小野田貢文化部長、鈴木マリオ文化部カラオケ担当、同夫人のワウキリアさんが現在、ヂアデマ市内の工場に通っている。
 この日(八月二十九日)は片面に張り付けた革に鋲を打ち、もう一方の面に革を張り付けた。四人は「理屈では分かるんです。簡単なようだけど、難しい」などと漏らしながら、〃師匠〃の説明に耳を傾けていた。
 高橋さんは三九年、九歳で渡伯。幼いころ父親が、趣味でつくった小太鼓で岩手県民謡を歌うのを聞いて育った。太鼓の響きをブラジルでも残したいと大工職人を辞め、九四年十月から半年間、新潟県内の太鼓製作店で修行を積んだ。
 帰国後、今日まで百個以上の太鼓の製作、修理を手掛けた。
 問い合わせ電話番号=0××・11・275・8620(高橋まで)。

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