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「おふくろの味づくり」に自信―農協婦連、体験重ねて

9月30日(火)

 八月二十三日から九月七日までの三週間の週末、サンパウロ市郊外にあるアルジャで開かれたⅩⅠⅠ AFLORD(第十二回花祭り)で、昨年に続き二度目の出店を果たしたブラジル農協婦人部連合会(ADESC、上芝原初美会長)。期間中、一日平均二十人の部員が参加して、素人ぽさを残しつつも、お互いに料理の腕を競い合いながら、プロの意識をもって、おにぎり弁当、笹巻き弁当、手巻き寿司、白もち、大福、よもぎもち、どら焼き、などを現場で作った。食した数多くの顧客の評判も高く、健康にやさしい手づくり(カゼイロ)食の工夫に一層の自信を深めた、と参加した部員の手記が伝えている。まさに、家庭の台所を切り盛りしている主婦の知恵の結晶だ。
 七月下旬、サンパウロ市内で開催された第六回日本祭りを契機に動き始めた「大豆」キャンペーンの延長として、アルジャ花祭り会場では、味噌、おからのボリンニョ、大豆サラダ、大豆のひじき煮、豆腐のトルタ、大豆入り味付けごはん、大豆のカレー味煮物など多彩な健康食品が次々と披露された。
 今年、ブラジルは米国を抜いて大豆の世界一生産国に浮上した。化学肥料過多の農業を踏襲してきた農業大国の米国では、近年は地力低下と地下水減少が顕著に進行しつつあり、大豆生産世界一の座をブラジルから奪回するのは不可能に近い。加えて、ブラジルは広大な面積の潜在的な農業可能用地を抱えている。
 にもかかわらず、一般国民に大豆を食べる習慣がない、という驚くべき事実が現存している。コーヒーでは世界一の生産国であって消費国なのに、である。
 この国で大豆が食材として国民の間に普及すれば、ルーラ政権が掲げる〃飢餓ゼロ〃政策の前進にもつながる。大豆食は子供たちの健康を約束し、より明るく、持続可能なブラジルの国づくりに大きく貢献できる要素を持っている。それを実行に移すことができるのは家庭の主婦であり、そのためには伝統的に大豆を食してきた日系コロニアが果たし得る重要な役割が存在する。
 その端緒をADESCが作った。日系コロニアでも知られ始めている「大豆」キャンペーンだ。偶然か必然か、京都大学名誉教授で世界保健機構(WHO)循環器疾患予防共同研究センター長の家森幸男医学博士が後押しをする結果を作った。
 在サンパウロ日本総領事館とブラジル戦後移住五十周年記念祭実行委員会の共催で、去る九月三日、サンパウロ市にあるブラジル日本文化協会講堂で行われた「日本の食文化と長寿の秘訣」と題する記念講演(本紙・九月九日、サンパウロ紙・九月十日既報)で、家森教授は大豆の効用に触れ「大豆をたくさん食べていると、前立腺ガンも乳ガンも死亡率としては確実に低くなる」と言明した。ガンに限らず、大豆の持つイソフラボンが健康維持の一助になるという。
 日本の伝統食材である豆腐や納豆などをブラジル一般家庭の食卓に乗せることは無理にしても、ブラジル国民の嗜好に合う健康的な〃おふくろの味〃を開拓する余地は無限に拡がっている。
 ADESCという大樹は、ブラジル国民に「おいしいですよ!」と、提供できるような多種多様なカゼイロ食を作り出しながら、じっくり成長を続け、根を伸ばし、枝と葉を拡げ、この国の大地にしっかりと根ざす「可能性」をも内包している。ADESCを構成するおふくろたちの生きざまそのものが心身ともに〃健康〃だから、二世や三世のおふくろ予備軍も育っている、といっても過言ではないだろう。

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