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アルベルト・フジモリ氏明言―「わたしは大統領に返り咲く」―『中央公論』10月号インタビユー記事掲載―一切の〝疑惑〟を否定

10月10日(金)

 【東京支社】「わたしは必ずペルー大統領に返り咲く」――アルベルト・フジモリ氏は、月刊誌『中央公論』十月号で明言した。日本滞在中のペルー前大統領は、中央公論編集部の同氏の疑惑を質すインタビューに答えた。以下、その大要である。
 ペルー政府は、フジモリ氏の身柄引渡し請求の中で、二つの虐殺事件の黒幕として、殺人罪に上げている。ペルー司法当局も大統領直属機関である国家情報局配下の秘密治安部隊によるゲリラ掃討で殺人が行われたとして殺人罪に問う。
 これに対し、フジモリ氏は「誰一人として、私が黒幕だったと直接証明する証拠を示した者はいない」と答え、秘密治安部隊・コナリ部隊の存在自体を知らなかった、と疑惑を否定。
 無実であるならペルーに帰り、なぜ説明しないか、という疑問に対しては、当局が復讐心にとりつかれている今、適切な時期でないこと、また現ペルー司法機関は政府べったりで独立が保たれていないことを理由にあげている。
 不正蓄財疑惑については、不適切な銀行口座は一つももっていない、と明言。フジモリ氏に対する不正蓄財疑惑に関し、米国の調査会社がペルー政府と契約し調査したが、その結果について検事総長は情報開示をためらった。フジモリ氏の開示要求の結果、調査内容を示したが、一つの口座も発見できなかった。ないから当然である、と不正蓄財の疑惑も全面否定する。
 また二重国籍者の大統領資格問題については、ペルー大統領になる唯一の条件は、ペルー生まれのペルー人であることで、この条件に適合していること。現行の閣僚も含めて何人もの歴代閣僚、元国会議長が第三国の国籍を有しており、別の国籍を保有することが問題ではないことを指摘。
 現政権と反フジモリ派による、日本国籍を有するため大統領に返り咲きできないとの主張に対して、欧州の国籍保有者ならよく、日本国籍者がダメだということは差別であり、政界復帰に支障ないことを語る。
 フジモリ氏は七月末、政界復帰を向け運動体「シクンプレ(必ず実行)」を組織した。政治舞台に戻る意図については、ペルー建設の道程が無に帰すことを阻止するためと答える。
 また強引な大統領三選については「今振り返ると、連続三選を目指すべきではなかった」と語り、五年の空白を経た後に改めて政権を目指すほうがよかった、という。
 現在、東京での生活にもなれたこと。月に一、二回の講演をしていること。運転免許も取得し、いろいろなところに出かけると近況についても語っている。
 現在、日本で犯罪が凶悪化していることに対しては「経済状況が国民にとって満足いくものでないと暴力と犯罪は増大する」と指摘する。

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