10月14日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】外務省は十二日、サムエル・P・ギマランエス外務次官を中心とする米州自由貿易地域(FTAA)のブラジル代表団を、マイアミFTAA閣僚会議を機会に交代する意向を明らかにした。農務省と産業開発省の強い要望を取り入れて、今年五月に来伯したゼーリック米通商代表(USTR)提案の米州同盟案によりを戻して再度交渉することにした。交代劇は、そのための第一段階とみられる。
ロドリゲス農相とフルラン産業開発相の提言を入れてパロッシ財務相が、FTAA戦略の総指揮を執ることになったようだ。これは八日、ルーラ大統領を囲んだ昼食会の席上で決定した。トリニダードトバゴの準備会議はブラジル代表団が孤立したことから、農相と産開相は正面対決を避けて懐柔策を提案していた。
そのため米通商代表が来伯し米州協定を提唱した五月の融合的時点へ、伯米関係を引き戻すというもの。産開相は当時、米通商代表と会談し米州案で交渉妥結の感触を得ていたという。FTAA交渉を米州協定の延長で継続すれば、FTAAはよりスムーズに運ぶと産開相は踏んでいた。
伯米両国は世界貿易機関(WTO)閣僚会議で、アモリン外相率いるG23途上国連合に出はなをくじかれ、対話は頓挫していた。自尊心を傷つけられた米代表が、すんなり対話に応じるかはまだ疑問だ。米政府への提言は、ブラジル抜きFTAAは米州とならないことを強調する予定だ。
FTAAに対するこれまでの外務省戦略、米国の保護貿易制度が合意の妨げとなりFTAAの締結に至らないのは米国の一方的責任とすることに、財務相は異論があったようだ。
財務相はFTAA戦略で政府内の意見対立を避けるため沈黙を守っていた。ところが農相と産開相が外務省戦略を公式に批判したので、対外通商政策の財政面でFTAA戦略に財務省が関与したことを認めた。
FTAAを挟んだ財務省と外務省の確執に、大統領は外相の顔を立てて外務省戦略を支持した。その代わり、外務次官を降ろさせた。同外務次官を、駐亜大使に推したが断った。同大使は外交官生活は長いが、代表団を率いた経験はない。前政権時代にFTAA排斥論を展開して外務省の海外政策研究室主任を、セルソ・ラッフェル前外相から解任された経緯がある。
前政権から追われたことが、PT政権に入って評価された。外務次官の要職に任命されてから、FTAA交渉の主役を演じていた。
しかし、トリニダードトバゴではメルコスル加盟国のウルグアイやパラグアイからも見放され、アルゼンチンのみが支援したことで不手際が指摘された。